2013 Fiscal Year Research-status Report
傾斜エリプソメトリーによるその場精密3次元形状計測法の開発
Project/Area Number |
25390089
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
津留 俊英 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (30306526)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 偏光 / エリプソメトリー / 形状計測 |
Research Abstract |
本研究は、一般に平面試料に用いられるエリプソメトリーを立体試料に拡張し、物体表面の法線ベクトルを直読する傾斜エリプソメトリー技術を用いた3次元形状計測法の確立と、これを用いた実時間精密3次元形状計測装置を開発することを目的とする。 これまでの研究で、ネマティック液晶による可変リターダーを用いたエリプソメーター及びイメージングエリプソメーターでは、1回の位相切り替え時間に数100ミリ秒の時間を要するため、実時間の偏光イメージングは困難であることを明らかにした。そこで、本年度は高分子安定化液晶を用いた可変リターダーを新たに導入して高速偏光イメージングの実現を目指した。具体的には、1. 可変リターダーとして高分子安定化液晶と駆動用の高電圧アンプを、検出器にフォトダイオードを用いた通常配置のエリプソメーターとこれを制御するソフトウエアの作製、2. 直交ニコルの偏光子間に挿入した液晶の透過光強度測定から、液晶への印加電圧と位相の関係を取得するための制御・計測ソフトウエアの作製、3. 光学平面ガラス上の金属厚膜とガラス、シリコンを標準試料とした開発したエリプソメーターの性能評価、を実施した。また、液晶の印加電圧を変化させたときの透過強度の立ち上がり及び立下り時の応答時間を計測したところ、両者とも数100マイクロ秒であることを確認した。デジタルフーリエ変換法で反射偏光の2次元分布を得るためには少なくとも液晶による4回の位相変化が必要である。位相変化量を細かくして計測枚数を増やすほど計測精度が向上するが、実測した液晶の応答時間は実時間計測を実現し得る性能であることが明らかとなった。今後は、液晶駆動周波数と動作温度の最適化によって計測の再現性を向上させ、イメージングエリプソメーターに実装する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度に推進予定の研究を前倒しして開始したため、作製した液晶変調エリプソメーターの性能評価にやや遅れがあるものの、研究計画は順調に進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はイメージングエリプソメーターと円偏光照明装置をそれぞれ開発してその場精密3次元形状計測装置の完成を目指す。具体的には、1. 前年度に導入した高速液晶可変リターダーの動作周波数と動作温度を最適化してより高速な駆動と高い再現性を目指す。2. 2次元偏光イメージング計測に使用する大面積フィルム偏光子の消光比を考慮した4桁以上のダイナミックレンジを持つ高速撮像可能な2次元検出器を用いてイメージングエリプソメーターを構築する。3. 高速液晶可変リターダーの位相変調と同期して反射偏光イメージングする制御・計測ソフトウエアを自作する。4. コリメート光を用いて前年度に製作した基準平面試料の2次元偏光画像を計測し、イメージングエリプソメーターの計測精度を評価する。5. 目標とする傾斜角度の測定精度から円偏光度97%以上を保障した照明装置を実現するために、使用する円偏光フィルムの円偏光度と入射角の関係を実測する。6. 試料全方位から照明するため半球を多角形近似した多角形ドームを作製する。7. 多角形ドームに円偏光フィルムと光源を設置し円偏光照明装置とする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、計画している研究の遂行に使用する予定である。
|