2014 Fiscal Year Research-status Report
傾斜エリプソメトリーによるその場精密3次元形状計測法の開発
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25390089
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
津留 俊英 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (30306526)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 偏光 / エリプソメトリー / 形状計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一般に平面試料に用いられるエリプソメトリーを立体試料に拡張し、物体表面の法線ベクトルを直読する傾斜エリプソメトリー技術を用いた3次元形状計測法の確立と、これを用いた実時間精密3次元形状計測装置を開発することを目的とする。 平成26年度はイメージングエリプソメーターと円偏光照明装置をそれぞれ開発してその場精密3次元形状計測装置の完成を目指した。具体的には、1. 液晶可変リターダーを用いて高精度偏光計測を行うために、新たに4検出器法によるその場計測ポラリメーター(FDP)を開発した。規定した偏光を液晶素子に入射し、液晶を駆動する印加電圧を変えながら出射光の偏光楕円をその場計測した。計測した偏光は液晶素子の設置誤差に起因する進相軸の方位角のズレによって所望の偏光状態ではないことが明らかとなった。そこで、回転ステージ上に液晶素子を保持して方位角を精密調整できるホルダーを作製した。2. 偏光イメージング計測に使用する大面積フィルム偏光子の消光比を考慮して14ビットのダイナミックレンジを持つCCDカメラを検出器として回転検光子法及び液晶位相変調法によるイメージングエリプソメーターを構築した。3. コリメート光を用いて金厚膜平面試料の2次元偏光画像を計測し、通常のエリプソメトリー計測と同等の精度で偏光計測できることを確認した。4. 目標とする傾斜角度の測定精度から円偏光度97%以上の照明を実現するために、指向角が狭い高輝度LEDを光源とし、出射部に円偏光フィルムを配置した円偏光照明装置を作製した。装置の形状は試料の全方位から照明するため半球の一部を多角形近似した多角形ドーム状とした。5. 傾斜エリプソメトリーの人体応用を目指して、人体による光の垂直反射率を簡便に計測できる光学系の作製を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度に研究を計画した人体の光反射率計測を前倒しするなど研究計画は順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、様々な材質と形状を対象として3次元形状を計測し、傾斜エリプソメトリーによる形状計測技術を確立する。偏光イメージング装置については、回転検光子法と液晶位相変調法を併用して同一試料を計測し、両者の性能及び計測精度の評価を行う。照明装置については、半球ドームに円偏光フィルム付LED光源を組み込み、全方位から照明できる装置の完成を目指す。また、本計測法の応用展開を検討するための評価実験を行う。具体的な計測試料は次の通りである。1. 面精度が良く、表面粗さが小さなガラス平面試料や金属厚膜を成膜した試料。干渉計測法の計測結果と比較し、測定精度について検討する。2. ガラス、プラスティック、金属製で面粗さが比較的小さな平面試料。本手法の得手不得手とする材質を評価する。3. 機械加工部品など表面粗さが大きく反射光の非偏光成分が多い試料。計測法の実用性について検討する。4. これらの試料に加えて、人体への応用展開を検討するため評価計測を行う。分光反射率計やエリプソメーターを用いて屈折率などの光学特性を評価する。反射光量が不足して偏光画像計測が困難な場合には、油やカラースプレーの塗布や密着するゴムなどを装着し計測する。 これらを実現して傾斜エリプソメトリーによる高精度3次元形状計測法を確立する。
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Causes of Carryover |
研究を効率的に推進したため僅かな未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額と合算し、計画している研究の遂行に使用する予定である。
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