2015 Fiscal Year Research-status Report
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25390090
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
武田 光夫 宇都宮大学, オプティクス教育研究センター, 特任教授 (00114926)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 統計光学 / コヒーレンス / 偏光状態 / スペックル / アンサンブル平均 / Riesz変換 / 相関関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
波動方程式の持つ「時間」と「空間」対称性に着目し,「アンサンブル平均」を「時間平均」ではなく「空間平均」で置き換えることにより,現在の「時間平均統計光学」と異なる「空間平均統計光学」の新体系を創成することを目指し,以下の研究を実施した.
【複屈折リターデーション拡散板による偏光スペックル場の生成法と偏光スペックル場の空間統計の理論解析法の提案】1)拡散表面をもつ複屈折媒質のランダムなリターデーションを利用した空間的ディポーラライザーの原理と,それによる空間的非偏光場の生成法を提案した.2)空間的ディポーラライザーから散乱されたベクトル光波が複素ABCD行列で記述される近軸光学系の任意の空間に生成する偏光スペックル場のコヒーレンス行列を求める計算式を導出した.3)それにより,光波の伝搬にともなう偏光状態の変化の数値例を示し,その有用性を実証した.(Journal of the Optical Society of America A, 2015)
【Riesz変換で生成された複素スペックル場の空間統計解析と擬似ストークスベクトル相関法の微小変位計測への応用】 1)スペックル強度分布をRiesz変換して得られる複素スペックル場の空間勾配と偏光のストークスパラメータの数学的な構造の類似性に着目した擬似ストークスベクトル相関法を提案した.2)空間平均に基づく擬似ストークス相関を用いたスペックル相関変位計測法の分解能が従来の方法より優れていることを数値実験により示した.(Applied Optics, 2015)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べたように当初の研究計画の目標をほぼ達成できた. また,招待講演などのレビュー解説を通じて空間統計光学の重要性を提示して関心をたかめることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ海外研究協力者との国際共同研究が順調に進んでいるので,研究の方策に変更の必要はない.最終年も現在の体制を維持して,当初の計画にそって研究をすすめて,これらの成果を取りまとめる予定である.
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Causes of Carryover |
本年度も理論面の研究に重点を行い、実験については海外研究協力者の施設や装置を利用して行うことができた.そのため、計算実験用のソフトなどの物品購入を次年度に回したので予算を次年度に繰り越すことになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した予算は当初の計画通り計算機ソフトの購入や成果の発表のため費用として使う予定である.
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