2013 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ光における波面計測の確立とトポロジカル光波への展開
Project/Area Number |
25390092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮本 克彦 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (20375158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光渦 / テラヘルツ / optical vortex |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで前例がないテラヘルツ領域での波面計測法の確立および世界初の単色テラヘルツ光渦の発生を行う事である。光渦とは、位相特異点に由来する軌道角運動量とドーナツ状の強度分布を有し、波面が螺旋形状を示す光波の総称である。光渦の応用範囲は高速通信・光トラッピング・高解像顕微鏡と広範囲であり、金属表面に照射するだけでナノオーダーの尖鋭な針状構造体が生成出来ることも本研究グループにより明らかになっている。 本年度はこれまで実現できていなかったテラヘルツ光渦の発生のため、1.高品質テラヘルツ光源の開発、2.テラヘルツ用位相板の設計・試作、を目標とした。 はじめに、申請者がこれまでに開発を行ってきた高繰返し単色テラヘルツ光源の空間モードプロファイルの最適化を行った。変換素子を用いてテラヘルツ光を光渦に変換する場合、光渦の空間モードプロファイルは元のテラヘルツ光に大きく起因する事になる。よって空間モードプロファイルの綺麗なテラヘルツ光の発生はテラヘルツ光渦発生には必要不可欠である。本研究では差周波発生を用いてテラヘルツ光を発生させる手法を用いているため、励起2波長光の空間ビームプロファイルの改善を行う事で、ガウシアン形状の単色テラヘルツ光の発生を実現した。次に、テラヘルツ用の位相板として、連続型螺旋位相板の設計および試作を行った。開発した単色テラヘルツ光源と連続型螺旋位相板を用いて、テラヘルツ光渦の発生を行い、位相特異点の確認に成功した。しかしながら、光渦の純度についてはまだ測定できていないため、光源の高出力化と共に定量化を今後試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ光ビームの高品質化を図るため、差周波テラヘルツ発生用の1.5μm帯励起2波長光源の改善を行った。用いている非線形光学結晶に高品質プロファイルを有したシード光を同軸に入射する事で、励起2波長光のプロファイル向上を実現した。結果として、発生したテラヘルツ光のビーム品質が向上し、ほぼ回折限界までテラヘルツ光を集光する事に成功した。テラヘルツ用位相板については、可視~近赤外で用いられている様なステップ型の物とは異なり連続的に厚みが変化する形状に設計し、試作を行った。テラヘルツ用位相板は、その長い波長領域に起因して機械加工でしか実現できないが、高確度な作成に成功しその誤差は±1%以内である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、発生したテラヘルツ光渦の純度について測定を行う予定である。このためにも、単色テラヘルツ光源のさらなる高出力化は必須条件であり励起2波長光源の最適化を行う。また、光渦特有のドーナツ型の強度分布の観測や、ビーム伝搬、次数の特定などの測定を行い、テラヘルツ用連続型位相板の設計にフィードバックを掛けながら再設計・試作を行う予定である。
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Research Products
(8 results)