2014 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ光における波面計測の確立とトポロジカル光波への展開
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25390092
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮本 克彦 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (20375158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 非線形光学 / 量子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、開発した連続型螺旋位相板をもちいて簡便にテラヘルツ光渦の発生を行いテラヘルツ領域での波面計測法の確立を行う事である。 テラヘルツ用連続型位相板の材料には、テラヘルツ領域において透明かつ加工が簡便な樹脂材料Tsurupicaを使用した。他の材料に比べてテラヘルツ領域での透過率が高く、可視光にたいしても同様に透明である。また、テラヘルツ領域~可視光領域において屈折率分散が非常に少ないという特徴を有している。連続螺旋型位相板を用いてテラヘルツガウス光を光渦へと変換する際のモード解析シミュレーションを行った。中心周波数において光渦次数m=1となるように位相板を設計した場合、位相板の加工誤差が生じた場合でも±10%以内であれば発生するテラヘルツ光渦の変換効率は70%以上であることがわかった。開発を行った連続型位相板の段差厚みは290um(中心周波数2THz、m=1で設計)であるが、加工誤差は±3umと波長の1%以下となっており非常に高効率なテラヘルツ光渦モード変換が可能である事がわかる。 位相板の性能を定量的に評価するため単色テラヘルツ光源を用いて実験を行い、光渦特有の位相特異点を観測した。テラヘルツカメラへの集光レンズを傾けることで光渦の円筒座標系の対称性を崩し、光渦の次数をカメラで直接観測できた。さらに、テラヘルツ光渦の空間伝播を観測(空間的に一部を遮蔽し、その開口部の回転方向を確認)することにより光渦次数の符号についてもテラヘルツカメラにて観測可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ光ビームの高品質・高出力化をはかった。テラヘルツ出力は、昨年度い比べて2桁向上し平均出力約0.1mW(繰り返し周波数1MHz)を達成した。これは、励起レーザーおよび1.5um帯励起2波長光源の高出力化およびビームプロファイルの高品質化により実現したものである。また設計したテラヘルツ用連続型位相板には、テラヘルツ領域において屈折率分散が非常に小さい事から設計周波数以外にも使用できる事がシミュレーションより導き出され、実験的にも確認する事が出来た。今回開発した位相板は2THz用であるが、4THz、6THzでも使用可能である。変換された光渦の純度は低下するが、4THz(m=2)および6THz(m=3)のテラヘルツ光渦の変換効率はそれぞれ~50%、<30%となり十分に使用可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したテラヘルツ用位相板を用いたテラヘルツ光渦発生実験において、光渦特有のドーナツ型の強度分布観測、次数観測、符号判別をテラヘルツカメラを用いて直接観測することができた。次年度以降は、光渦の純度についてモード解析をさらに進め追及する予定である。実験については、テラヘルツ領域における非線形応答を目指してテラヘルツ光の更なる高出力化を行う予定である。
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Research Products
(6 results)