2014 Fiscal Year Research-status Report
超高強度超短パルスボーティクス・ベクトルビームを用いた非線形光学の新展開
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25390094
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
張本 鉄雄 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80273035)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非線形光学効果 / 第二高調波発生 / 光パラメトリック増幅 / チャープパルス増幅 / ベクトルビーム / ボーティクスビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、研究代表者が考案した二段階の非線形光学過程を用いたベクトルビームの第二高調波発生(SHG)と光パラメトリックチャープパルス増幅(OPCPA)方式の可能性を数値計算で評価し、ベクトルビームの短波長化と高強度化の道筋を明らかにした。 径偏光と方位方向偏光のラゲールガウシアンビームは二つの直線偏光エルミートガウシアンビームに分解することが可能であり、非線形光学過程を二つの偏光成分にそれぞれ対応させる二段階に分けて実施すれば、高効率SHGと高利得OPCPAを得ることが期待できる。 この考案に対して、前年度研究で完成させた非線形波動方程式を用いた数値計算コードで可能性評価を行った。波長1053 ナノメートルのエルミートガウシアンビームを基本波とし、二枚のタイプI 非臨界位相整合リチウム・トリボレート(LBO)結晶による波長532ナノメートルの第二高調波ラゲールガウシアンビームを発生させる。結晶長を二枚とも25ミリメートルにし、基本波の二つ偏光成分強度を2ギガワット毎平方センチメートルとした条件で、二枚目の結晶光軸を90度回転させることで、95%に近い高効率の第二高調波の発生可能性を明らかにした。 従来の一段階タイプII位相整合方式と比較すると、非線形光学結晶の枚数が多いという欠点があるが、タイプI非臨界位相整合を利用することが可能であるため、結晶中におけるウォークオフが避けられ、高品質のベクトルビームを得ることも明らかにした。 また、レーザービーム整形の光学系、計測系、電気機械制御系を構築し、ガウスビームからドーナツやフラットトップビーム等への変換に関する制御技術も確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した二段階の非線形光学過程によるボーティクス・ベクトルビームの短波長化と高強度化の試みを数値計算を通して行い、その実現可能性を明らかにすることができた。具体的には、径偏光のようなベクトルビームにおけるすべての偏光を常線方向と異常線方向に分けることにより、一枚目結晶での常線方向での第二高調波発生と二枚目結晶での異常線方向の第二高調波発生が可能となり、ベクトルビームの高効率化が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
径偏光ベクトルビームの短波長化を行うにあたり、第二高調波発生時の結晶内での常線方向のビームと異常線方向のビームとの間に生じる位相変化の影響を評価し、二枚結晶間の間隔などの最適化を行っていきたい。 また、これまでの複雑な数値計算による非線形光学系の最適化設計をより簡単化したうえで、当初の研究実施計画の通り、自己位相変調や自己収束への評価も行う。
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