2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25390096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石飛 秀和 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20372633)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アゾ系ポリマー / プラズモン増強場 / ナノイメージング / 金ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は、単一の金ナノ粒子周囲のプラズモン増強場のナノイメージングを行った。サンプルとして直径50, 80 nmの金ナノ粒子を用いた。まずシランカップリングによりカバーガラス上に金ナノ粒子を固定した。次にスピンコート法によりアゾ系ポリマーフィルムを塗布した。原子間力顕微鏡(AFM)による測定の結果、それぞれフィルムの膜厚は30, 50 nmであった。またAFMの位相像より、微粒子の直上にはフィルムがなく、微粒子が剥き出しの状態であることが分かった。このサンプルに波長532 nmのレーザー光を照射した。その際光強度分布が面内に一様になるように、入射光を平行光とした。偏光はフィルム面内に平行な直線偏光を用いた。入射光強度として、100 mW/cm2を用いた。このレーザー光照射によって金ナノ粒子周囲にプラズモン増強近接場光を発生させ,誘起されたフィルム表面の形状変化をAFM)で測定した.その結果、直径50 nm の金ナノ粒子では偏光方向(x) のみに形状変化が見られたが,直径80 nm の金ナノ粒子では偏光方向(x) だけでなくその垂直方向(y) にも形状変化が見られた.FDTD 法による計算結果から,Ex成分は金ナノ粒子の両側面(x 方向)に,Ey 成分は対角線上に4カ所局在することが分かった.また,Ex成分とEy成分の比は金ナノ粒子の直径とアゾ系ポリマーフィルムの膜厚に強く依存することが分かった.これらの結果から,それぞれ異なる光強度分布を持つEx成分とEy成分の強度比が形状変化の重要なファクターであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プラズモン増強場のナノイメージングの対象として、構造の最も単純な金ナノ粒子を用いた。当初誘起されるプラズモン増強場は入射した偏光方向の成分(Ex)が支配的だと考えていたが、実際はナノ粒子周囲のアゾ系ポリマーの存在によって、入射した偏光成分に対して垂直な偏光成分(Ey)も無視できないレベルで増強されることが分かった。また計算結果からこのEx/Ey成分比は粒子のサイズ、アゾ系ポリマーの膜厚に依存することが分かった。実験結果からEx/Ey成分比によって誘起されるポリマー表面形状が全く異なる事を発見し、さらにこの表面形状変化をそれぞれ異なる光強度分布を持つEx成分とEy成分の強度比によって説明することができた。この実験結果は、Ex, Ey成分が混じり合った複雑な光強度分布を本提案手法によってナノイメージングできることを意味する重要な研究成果であり、当初の計画以上に研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はフィルム面内に平行な偏光成分(Ex, Ey)によるポリマー表面構造変化を調べたので、次はフィルム面内に対して垂直な偏光成分(Ez)によるポリマー表面構造変化を調べる。これによってEx, Ey, Ezの3次元偏光成分すべてに対する表面形状変化を調べることになるので、本手法によるプラズモン増強場のナノイメージング法の基盤技術を確立することができる。これを元に、より複雑な金属ナノ構造によるプラズモン増強場イメージングへの展開を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
単一金ナノ粒子によるプラズモン増強場のナノイメージングに新たな発見があったため、今年度はこれに集中し、当初予定していた複雑な金属ナノ構造のよるプラズモン増強ナノイメージングをは次年度に行うことにした。そのため当初の予定より物品費、特に複雑な金属ナノ構造作製に必要な材料費が浮いため、次年度使用額が生じた。 本年度は主に測定に必要な備品に用いてきた。次年度の研究費は主に複雑な金属ナノ構造作製に必要な材料費などの消耗品に使用する予定である。また得られた研究成果の公表・発信を目的として、学会発表のための旅費に用いる予定である。
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Research Products
(15 results)