2013 Fiscal Year Research-status Report
高速応答位相共役鏡共振器におけるセルフポンプ発振の研究
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25390097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
向井 孝彰 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10419674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 位相共役 / セルフポンプ位相共役鏡 / 広ストライプ半導体レーザ / ブロードエリア半導体レーザ / 位相共役光共振器 / 発振線幅 / 半導体増幅媒質 |
Research Abstract |
1. 発散球面波を用いた斜め光フィードバック実験で、共振器長L を短縮化することによりフィードバックパワーを増大させ、位相共役反射率の増大を追及したが、共振器長をL=10cm以下に減少させると位相共役反射率の増大が飽和の傾向を示した。これはLの短縮化に伴いフィードバックされる角度成分が増加し、活性層内で形成されるキャリア密度の空間的回折格子の周期に、多数の周期の異なる成分が含まれるようになり、空間的回折格子の実効長が減少したためと考えられる。 2. 広ストライプ半導体レーザの発振スペクトルを観測した結果、発振しきい値以上の注入電流では、垂直および斜め光フィードバック時の両方で、多数の素子モードで発振していることが明らかになった。 3. 位相共役鏡共振器の自励発振に成功した場合にその発振線幅を実験的に検証するための遅延自己ヘテロダイン測定系を既に立ち上げており、7kmのファイバ遅延線長から決まる計測分解能は約14kHz である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 位相共役反射率の実測値は40%~80%まで向上したが、位相共役鏡共振器の自励発振の目安である100%を越える反射率の実現までにはあと少しであり、更なる工夫が必要である。 2. 垂直および斜め光フィードバック時の広ストライプ半導体レーザの発振スペクトルは、素子モードと外部共振器モードの両方で多モード発振しているように見受けられ、位相共役鏡共振器が自励発振した場合の発振線幅測定の前提となるスペクトル特性が、素子モードと外部鏡モードが共にシングルであるような状況に近づける工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 今後、平面鏡に替えて、波長選択特性を持つ回折格子からの垂直および斜め光フィードバック実験を行い、単一素子モード発振条件下での、高分解能ファブリペロ分光器を用いた外部鏡モード特性の観測を通じて、素子モードと外部鏡モードが共にシングルである実験条件下で、外部鏡共振器長L を波長程度変化させても位相共役共振器の効果により光出力に変動が生じないことを実験で確かめたい。 2. 現状の広ストライプ半導体レーザは前面側15%、裏面側90%の反射率構造を持つため、位相共役鏡共振器の自励発振の前に、広ストライプ半導体レーザの前面と裏面反射鏡の間で通常のレーザ発振が生じてしまっており、この発振光の存在により利得が飽和した条件下での光非線形動作となっている。広ストライプ半導体レーザの前面側反射率を0.1%程度まで低減できれば、通常のレーザ発振が起こる前に活性層内で形成されるキャリア密度の空間的回折格子に基づく位相共役鏡共振器の自励発振が立ち上がる可能性があり、その場合には未飽和利得に近い光非線形動作を実現できる可能性がある。
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