2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25390101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
吉村 徹三 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (50339769)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自己組織化光波網 / SOLNET / 反射型 / 蛍光ターゲット / セルフフォーカス / セルフアライン光結合 / 光導波路 / フォトポリマ |
Research Abstract |
初年度となる25年度は,蛍光体をターゲットとした反射型自己組織化光波網 (R-SOLNET)の形成と結合効率の測定を行なった. 【Alq3蒸着膜蛍光ターゲット】直径125 umの光ファイバの端面に,tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum (Alq3)を蒸着して蛍光ターゲットを形成した.数 mmの間隔をあけてコア径 50 umの光ファイバと蛍光ターゲットを対向させ,フォトポリマ(NORLAND OPTICAL ADHESIVE NOA65 および NOA81 を重量比 1 : 2 で混合した材料)中にセットし,光ファイバコアから波長405 nmの書き込み光を出射させた.その結果,Alq3蒸着蛍光ターゲットから緑青色発光を生じ,R-SOLNETが蛍光体ターゲットに向かって形成された. 【Coumarin 481蛍光ターゲット】光ファイバ端面部にCoumarin 481をドープした新規有機/無機ハイブリッド感光材料 Sunconnectをコートした後,コアを通過してきた紫外光の照射により硬化させ,未硬化部分をエッチングで除去して,コア部(直径 50 um)に蛍光ターゲットを形成した.100-300 umの間隔をあけてコア径 50 umの光ファイバと蛍光ターゲットを対向させ,Sunconnect中にセットし,光ファイバコアから波長448 nmの書き込み光を出射させた.その結果,蛍光ターゲットから青色発光を生じ,R-SOLNETがターゲットに向かって形成された.波長850 nmのプローブ光を用いて結合効率を測定した結果,R-SOLNETの形成により,10-30%の結合効率上昇,位置ずれトレランスの増大が観測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画のうち,LA-SOLNETの形成・結合効率評価が積み残しとなった.このため,達成度は70%程度と評価される. LA-SOLNETでは,蛍光ターゲット付きファイバ2つを対向させてフォトポリマ中にセットし,上部から波長448 nmの励起光を照射してSOLNETを形成する.このとき,蛍光に対する感度を,励起光に対する感度より高くするために,フォトポリマを増感しておく必要がある.25年度は,SunconnectのCrystal Violet (CV)による増感を試みてきたが,まだまとまった成果が得られていない.このため,LA-SOLNETの実験を先送りすることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
CVを増感剤として, 500-650 nmの波長範囲で高い感度を有するフォトポリマを調整し,適正感度バランスを明らかにする.これを用いて,LA-SOLNETの実験を実行する.また,分岐SOLNET,コア径の異なる光ファイバ間へのR-SOLNET形成の実験を進め,SOLNET技術の適応範囲の拡大を試みる.さらに,IBMから2段階励起材料として報告されているbiacetylをSunconnectにドープし,2波長による2段階励起プロセスを利用したSOLNETの形成も試みる. これらの実験と並行して,Finite Difference Time Domain (FDTD)法を用いたR-SOLNETのシミュレーションを進める.これまで,R-SOLNETのシミュレーションは,10年前に購入したPC(OS:Windows XP)で行っていた.今回,モデルサイズ大型化と計算高速化を目的として,新規PCを導入し,Windows 7下でのシミュレーションが可能な状態となった.今後,多数のデバイスを含むSOLNET,LA-SOLNET,2段階励起プロセスなど,各種モデルについて計算を進め,理論的な予測からSOLNETの新たな可能性を提案していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予算では,SOLNETシミュレーション用のワークステーションを購入する予定であったが,通常のPCでも実行可能なことがわかり,使い勝手も考慮して,ワークステーションからPCに切り替えた.さらに,PCは金額が小さいため,別予算を充当した. 当初計画に無かった項目として,国際会議発表出張費を追加する.これは,1年目のR-SOLNET with Luminescent Targets の実験で極めて良好な結果が得られ,CLEO 2014でのOral Presentationとして採択されたためである. 26年度の使用計画としては,光ファイバなどの光学部品の購入,蛍光体材料・基板・薬品などの消耗品の購入,シミュレーション強化のための新PCの購入,および論文投稿がある.
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