2015 Fiscal Year Annual Research Report
機能性フラクタル構造体のデザインに向けた基礎的研究:構造制御とダイナミクス
Project/Area Number |
25390113
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
矢久保 考介 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40200480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小布施 秀明 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50415121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フラクタル / 臨界現象 / 複雑ネットワーク / スモールワールド / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、複雑ネットワークにおけるフラクタル性発現機構の解明を行った。ユークリッド距離が定義されないトポロジカルな意味での複雑系は、ネットワークという一般概念を用いることによって記述される。現実世界における大規模で複雑なネットワークは、ネットワーク距離の意味でフラクタル性を示すこともあれば、非フラクタル構造(スモールワールド構造)を持つこともある。人間関係のネットワーク上での感染症の蔓延の速さや、インターネットのような機能性ネットワークにおける故障のカスケードの速さなど、ネットワーク上の拡散の速さは構造のフラクタル性と密接に関係があるため、どのような原因でネットワークがフラクタルになるかを解明することは非常に重要な課題である。しかしながら、この問題に対する明確な答えは未だ得られていない。平成27年度の研究において我々は、自己組織化臨界性(SOC)に基づいた複雑ネットワーク形成モデルを構築することにより、臨界点近傍における非平衡揺らぎが相反するフラクタル性とスモールワールド性をネットワークにもたらすことを明らかにした。そのようなモデルを作るため、(1)現実の機能性ネットワークが時間的に成長すること、(2)時間的に変動する負荷がノードの耐性を超えた場合にはノードの故障が起こること、(3)一つのノードの故障は他のノードの過負荷故障を誘発するため過負荷故障のカスケードが起こることの3点に着目した。その上で、これらの要素を合わせ持つモデルを構築した。モデルにおけるダイナミクスを数値的に追うことにより、ネットワークのダイナミクスがSOCを示すことが明らかになった。特に、カスケード故障による大規模崩壊直後のネットワーク構造はフラクタル構造を示し、直前の構造はスモールワールド性を示すことが解明された。これらの研究成果は、欧文学術論文、および学会で発表した。
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