2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ音響レンズを用いたレーザーピコ秒超音波顕微鏡技術の開発
Project/Area Number |
25390114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
友田 基信 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30344485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
O・B Wright 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90281790)
松田 理 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30239024)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音 / 顕微鏡 / イメージング / ポンプ・プローブ分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高周波数・高分解能をもつ超音波顕微鏡技術を開発し、ナノ構造試料などの表面形状や3次元内部構造を非破壊的に測定ならびにイメージングすることである。この技術は、10-100GHz帯の超音波を励起・検出するレーザーピコ秒超音波法を基にしている。従来の超音波顕微鏡において高周波数化・高分解能化する際にネックになっていた高周波数の励起・検出・減衰の問題を、光パルスによる超音波パルスの局所的な励起・検出によって克服し、ナノスケール分解能での超音波顕微鏡技術を得ることを目的とする。 今年度は以下の研究を行った。 1.液浸レンズを用いたナノスケールスポットでのピコ秒超音波実験:市販の高開口数(NA=1.49)液浸用対物レンズを用い、なおかつプローブ光の中心波長を375nmと従来よりも短くした測定システムを構築した。電子ビームリソグラフィでナノスケールの段差のある金薄膜試料を作成し、その境界部分で高分解能を示すデモンストレーション実験を行った。 2.ポンプ光の任意スポット形状の作成:空間光変調器でポンプ光に空間的に位相分布を付けたものを対物レンズで集光すると、任意スポット形状が実現できる。この技術は、単色光では比較的容易であるが、フェムト秒パルス光のように波長幅をもった波束に対しては空間光変調器に入力するパターンの計算が容易ではなかった。この技術をフェムト秒パルスに対しても実現できる光学系と位相パターンを構築した。デモンストレーション実験として、任意形状の光励起源による表面音響波伝搬のイメージング実験を行った。この技術は、薄膜試料内部で3次元的に小さな集束超音波場を作ることへの応用が期待される。 3.任意周波数の励起・測定:従来、パルスレーザーの繰り返し周波数の倍数成分しか測定できなかったものを、任意周波数で測定する方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は集束マイクロ音響レンズを使う計画であったが、マイクロ音響レンズを使っても期待していたほどには超音波の減衰の影響が避けれないことが、シミュレーションによる音響波伝搬解析により判明した。そのため、計画を一部変更し、検出光の光スポットをできるだけ小さくして高分解能を達成する方針に切り替えた研究を進めた。液浸用対物レンズを使った方法では、従来の空気中の高倍率対物レンズよりもより小さなプローブ光のスポット径を実現できた。また、ポンプ光のスポット径状を変化させたり、任意周波数の測定を可能にするような要素技術の研究も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的な固体試料に対して、従来よりも高分解能となる超音波顕微鏡技術の開発を続けていく。 本研究は、研究分担者のライト教授、松田准教授とともに、研究代表者の友田が進めている。任意スポット形状実現については修士1年の藤田健太郎が、任意周波数での測定については修士1年の土屋佳織が、研究代表者や研究分担者の指導のもとに研究を行っている。
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Causes of Carryover |
機器の故障や消耗品の使い切りなどの急な支出に備えるため、ある程度の予算は年度末まで残しておく必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の部分は、年度末に発生した論文投稿料などにあてる予定である。
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