2013 Fiscal Year Research-status Report
CVD法・環化反応によるn型有機半導体ナノロッド形成技術の開発と太陽電池応用
Project/Area Number |
25390115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小柴 康子 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (70243326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 謙司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20303860)
上田 裕清 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40116190)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エネルギー変換 / 有機薄膜太陽電池 / n型有機半導体 / 化学気相成長法 |
Research Abstract |
今年度は、新規反応装置作製のための基礎データの収集として、CVD法で用いる原料テトラシアノベンゼン(TCNB)の真空中での加熱蒸発・昇華過程を重量/示差熱(真空TG-DTA)分析により測定した。真空度1.5×10-3Pa~大気圧での測定より、高真空になるほどTG曲線は低温側にシフトし、昇華開始温度は低下した。1.6×104Paより高真空では昇華に伴う吸熱のみを示し、その温度は高真空化とともに低下した。一方、大気圧および5.0×104Paでは融解および蒸発に起因する吸熱が見られ、真空度とともに蒸発温度は変化するのに対し、融解温度はほぼ同じ温度を示した。これらの測定から反応容器で想定している真空度である数Paでは原料は溶解せず昇華することが明らかとなった。 新規反応装置での測定の予備実験として封管中でのTCNBとKClとをの反応を行い、得られた生成物の分離・分析を行った。反応温度により、副生成物の生成が確認されたが、UV-Vis測定、およびFT-IR測定によりKClとTCNBの気固相反応で、オクタシアノフタロシアニン(OcPc)が生成していることが確認され、反応中のその場UV-Visスペクトル測定に向けて必要な吸収スペクトルの情報を得ることができた。またセルを自作し大気圧下でのTCNBとKClとの反応のその場UV-Visスペクトル測定を行った。 反応速度論に則った解析により、TCNBとKCl蒸着基板との反応の活性化エネルギーを67.7 kJ/molと算出した。 電極上へのナノロッドの生成に向け、メタルマスクを用いて作製したギャップ長25μmのAu櫛型電極上にCuを蒸着し、TCNBと封管中で300℃で加熱反応後の電極上の生成物のSEM観察を行った。電極上にはCuとの反応によりロッド状のOcPcが観察されたが、ロッド長は長くCu蒸着量を含め反応条件の最適化が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画に挙げていた真空下でのTCNBの重量/示差熱(真空TG-DTA)分析を行い、真空中でのTCNBの蒸発・昇華過程を明らかにすることができた。この結果をもとにその場測定に向けた反応装置を作製した。自作セルを用いた大気中でのその場測定を行い真空中での測定に向けた基礎データの収集を行うことができた。また電極上でのOcPcのロッド状成長も確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果をもとに、今後は真空中での反応とその場UV-Visスペクトル測定による反応の解析を進めていく。各真空度、反応温度で各種基板上での環化反応を試み、得られた生成物の評価は紫外可視分光光度計(UV-Vis)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、による分光学的評価、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、表面段差計による形態、膜厚の評価、X線回折法、透過型電子顕微鏡(TEM)による電子線回折法による結晶構造評価を行う。OcPcナノロッド作製の最適化を目指すとともに、太陽電池作製に向けてナノロッドの電気特性評価および素子構造の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的な予算の使用により次年度使用額が生じた。 この予算により、次年度に進める真空中での環化反応と反応中のその場UV-Vis測定に加えて、各基板上へのTCNBの吸着過程の測定をするための消耗品の購入が可能となり、より詳細な反応過程の解析が可能になると考えられる。
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