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2014 Fiscal Year Research-status Report

サブmeV分解電子スペクトルによる熱力学温度測定

Research Project

Project/Area Number 25390116
Research InstitutionYokohama City University

Principal Investigator

木下 郁雄  横浜市立大学, 生命ナノシステム科学, 准教授 (60275021)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords熱力学温度 / 光電子分光測定 / 電子エネルギー分析器 / フェルミ・ディラック分布
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、表面局在の熱力学温度の測定を可能とする被接触かつ目盛り校正不要な温度計測技術、すなわち、固体中の電子エネルギー分布の光電子分光測定を原理とした温度計測技術の開発を目的とする。平成26年度では以下の2項目について研究を実施した。
①新規電子エネルギー分析器の開発
昨年度から継続して熱力学温度計測に特化した電子エネルギー分析器の開発を行った。26年度では、半球電極入射部及び出射部の理想的な空間電位を作るための12個の電極アレイから構成される電極スリットの製作を行った。
②Au(110)単結晶試料表面のフェルミ準位近傍の光電子分光測定と熱力学温度決定
光電子スペクトルから熱力学温度を決定するための技術をさらに改善するための研究として、九州シンクロトロン光研究センターにてAu(110)単結晶表面での光電子分光測定を行った。測定は、室温と液体窒素冷却温度の2温度領域で行った。測定された光電子スペクトルから熱力学温度決定のためのフェルミ・ディラック分布関数のフィッティングを行った。そこでは、熱理学温度を変数にもつフェルミ・ディラック分布関数にエネルギー分解能を変数にもつガウス分布関数とさらにローレンツ分布関数の2つの関数を強度比を変えながら畳み込み積分した関数をフィッティングさせた。それにより、光電子分光測定時に温度センサーで測定された温度と1K以内の差で熱力学温度決定することができるようになった。また、熱力学温度決定精度については、カイ二乗検定という統計手法を用いることで±2Kという評価値を得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新規電子エネルギー分析器の開発に関しては、高いエネルギー分解能を実現させるための12段スリット電極を設計開発した。予算の都合により26年度は電子検出部までの製作ができなかった点では、やや遅れている。しかし、本来の研究目的である、光電子スペクトルから熱力学温度決定の技術開発において、フェルミ・ディラック分布関数にエネルギー分解能を変数にもつガウス分布関数とローレンツ分布関数を用いて方法を採用することで、非常に精度の高い熱力学温度決定手法を開発することに成功した。これは本研究技術が1次温度計となり得る重要な成果であり、大きな進展である。この成果は研究論文として発表する予定である。

Strategy for Future Research Activity

①新規電子エネルギー分析器の開発
電子計数検出部の設計開発を行う
②恒温試料表面で光電子スペクトルの測定と熱力学温度決定
放射光施設を利用した室温での光電子分光測定を行う。室温において積算回数に対するフィッティング精度および熱力学温度精度を評価する。それにより、電子のエネルギー分布測定から試料の熱力学温度を決定する温度計測技術、すなわち“光電子温度計測”の限界温度精度を評価する。

Causes of Carryover

当初計画した電子エネルギー分析器の開発箇所の変更による予算執行額の変更が理由である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度行う新規電子エネルギー分析器の開発費に使用する

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Published: 2016-05-27  

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