2014 Fiscal Year Research-status Report
気相化学法による超重元素Rf, Dbの化学的性質の研究
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25390122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
後藤 真一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70334646)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超重元素 / 気相科学 / 4族元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
超重元素である104番ラザホージウムの化学的性質を明らかにするために,周期表上の同族元素で化学的性質が似ていると予想されるジルコニウムおよびハフニウムとともに,無機化学物のうち構造が単純で比較的揮発性の高い塩化物の等温ガスクロマトグラフィを行うことを計画していた。 加速器を用いた実験に先立ち,ジルコニウムおよびハフニウムのトレーサ(88Zrおよび175Hf)を用いて,マクロ量からトレーサ量の範囲で分子数を変化させて加速器を用いないオフライン実験を繰り返してきた。 これまで報告されているオンライン実験の結果では,塩化ジルコニウムの方が塩化ハフニウムよりも揮発性であるとされており,マクロ量での蒸気圧曲線から予想されている序列と異なっていた。しかし,上記オフライン実験の結果,マクロ量での等温ガスクロマトグラフィの結果も揮発性の序列どおり塩化ハフニウムのほうが揮発性が高かった。また,トレーサ量での実験では,塩化ジルコニウムも塩化ハフニウムもほとんど同じ吸着エンタルピーを与えた。使用したクロマトグラフィカラムの表面積などから考えて,マクロ量では,吸着サイトの数よりも塩化物の量が十分多かったため,塩化物同士の相互作用でカラムを通過し,トレーサ量では,吸着サイトを十分占有していないため,純粋な石英カラム表面との吸着挙動を観測したと考えられる。 ジルコニウムとハフニウムとで,石英表面との相互作用にほとんど違いがなかったことから,石英カラムを用いてラザホージウム実験を行って同族元素との化学的性質の差異が見出せるのか検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,ラザホージウムのオンライン実験を検討していたが,ジルコニウムおよびハフニウム塩化物のオフラインガスクロマトグラフィ実験を行うことで,これまで報告されていた挙動が誤りである可能性が高いことを見出した。このことは,ラザホージウム実験の条件を検討しなおさなくてはいけないことを意味する。研究の進行は当初の予定からやや遅れてはいるものの,超重元素の気相化学分野のこれまでの結果を見直すきっかけを与える重要な結果を得たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
オフラインでの塩化ジルコニウムおよび塩化ハフニウムの等温クロマトグラフィ挙動を再現するようなオンライン実験の条件設定と実験を計画している。特に,実験系内の酸素および水の除去が重要であり,若干の開発の必要がある。 また,5族元素の超重元素であるドブニウムに対してもラザホージウム同様の実験を行うため,同族元素を用いたオフライン実験を計画している。 本年度は,これまでの研究成果をできるだけ多く論文・学会で発表を行う予定である。
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