2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of calculation code for physical phenomenon elucidation on the way from physical to chaemical processes in particle irradiation
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25390131
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
森林 健悟 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 量子生命科学研究部, 上席研究員(定常) (70354975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重イオンビーム / 二次電子 / 電場 / イオン衝突電離断面積 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
重イオンビームが細胞中(主に水)を通過すると重イオンの軌道上の分子は電離し、分子イオンと二次電子が発生する。この二次電子がDNA損傷に強く影響すると考えられているので、二次電子の運動のシミュレーション研究を行っている。LETが大きくなるにつれて入射イオンの軌道上に生成する分子イオンの電場は強くなり、二次電子の運動への影響も大きくなると考えることができるので、本年度は、この電場及び、この電場から脱出できる二次電子の数と総エネルギーを調べた。 入射イオンの軌道付近に生成する電場(F)は、入射イオンの軌道からの垂直距離(r)に反比例することがわかった。点電荷が作る電場は点電荷からの距離の二乗に反比例することから、Fは、点電荷よりも長距離力になっており、これにより、遅い二次電子を束縛すると考えることができる。また、Fはイオンの軌道上の分子イオンの電荷のみを考慮した場合、イオン衝突電離断面積に比例すること、さらに、軌道付近に束縛された二次電子の電荷も考慮するとイオン衝突電離断面積の平方根に比例することがわかった。 Fから脱出できる二次電子の数は、入射イオンのエネルギーには無関係で、イオン衝突電離断面積の平方根に反比例することがわかった。一方、二次電子の総エネルギーの脱出できる割合は、入射イオンのエネルギーには無関係であり、イオン衝突電離断面積の増加と共に減少することがわかった。しかしながら、炭素イオンのブラッグピーク付近でも半分以上のエネルギーが r = 5 nmを脱出できることがわかった。このことは、ブラッグピーク付近でもrが大きい値の領域も重要であることを意味する。
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Research Products
(8 results)