2015 Fiscal Year Annual Research Report
中性子小角散乱法による永久磁石内部構造の3次元実空間像の構築
Project/Area Number |
25390136
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
武田 全康 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 副センター長 (70222099)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子小角散乱 / 解析ソフトウエア / 3次元実空間像 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子小角散乱法は,試料内部に存在する約1nm から約10μmに及ぶ広い空間スケールに渡る構造や構造揺らぎを非破壊的に観測することのできる優れた手法である.ところが,得られるのが逆格子空間の中での構造情報であるため,散乱実験に馴染みのない研究者に対しては,電子顕微鏡写真などの実空間構造情報を同時に示さないと直感的に分かり難い手法であることは否めない.これは,結晶回折データを見て結晶構造を想像するのは現実的には不可能であり,回折データから得られた結晶構造を実空間での結晶構造の図に変換して示すのと事情は同じである.本研究では,中性子小角散乱測定で得られた2次元小角散乱パターンから,散乱体内部の平均構造を実空間像に変換するためのソフトウエアの開発を行ない,実際の中性子小角散乱実験で得られた実データと比較し,内部の平均構造データ(焼結粒サイズの分布,磁区の分布など)を得ることを目的とした. その際,実験で得られる散乱パターンには波動関数の位相情報が含まれないため,実験データから実空間像を直接得ることができない.そのため最初に,実空間でのモデルを構築し,それをフーリエ変換することで得られる2次元小角散乱パターンと実験データを比較するという手法をとった.また,最初の研究対象として取り上げたNd-Fe-B焼結磁石では,その永久磁石としての性能が,焼結粒のまわりを薄くとりまくNdリッチ相と呼ばれる界面相によって支配されることが知られている.しかし,焼結粒の大きさがμmオーダーであるのに対しこの界面相は数nmと薄く,その界面相を表現するためには,実空間モデルを構築する際のメッシュサイズを細かく取ることが必要になり計算時間が極端に長くなる.ソフトウエアの開発にあたっては,並列化の手法を取り入れて計算時間を短縮し(並列化しない時に比較して最大で3%),実用に耐える初期バージョンとして完成させた.
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Research Products
(2 results)