2014 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト型コバルト酸化物における高温強磁性の発現機構の解明
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25390140
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業センター(利用研究促進部)) |
Principal Investigator |
中尾 朗子 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, その他部局等, 副主任研究員 (90392050)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射光X線回折 / 中性子回折 / 磁気構造解析 / 結晶構造解析 / ペロブスカイト型コバルト酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
Co3+ (3d6)を含むペロブスカイト型酸化物には,high spin (spin S=2)状態とlow spin (S=0)状態が存在し,さらにintermediate spin (spin S=1)状態の出現が期待されている。本研究では,Aサイトがオーダーした酸素欠損型ペロブスカイトのコバルト酸化物Sr3RCo4O10.5(R=Y,ランタニド)について放射光X線回折および中性子回折実験を相補的に進め,結晶構造と磁気構造の精密決定を行い,Co3+のスピン状態の自由度がもたらす特異な秩序構造が,マクロ物性とどのように結びついているのかを知ることを目的としている。 2014年度は,これまで測定した,X線および中性子粉末回折データの精査を行うともに単結晶X線回折データの解析を行った。単結晶X線回折データからは,単結晶の成長段階から発生する立方晶ペロブスカイトの基本格子によるドメインが確認されたが, 粉末回折データと併せることで対称性等の構造情報の引き出しが可能になるものと考えられる。これらの解析から,結晶構造は,高温相の正方晶から室温相では三射晶になることが明らかとなった。また,この対称性を用いて,これまで提案されている磁気秩序モデルの構築を行った。粉末磁気構造解析からは,室温強磁性(フェリ磁性)相は,CoO6 layer において,intermediate spin状態が反強磁性的に秩序化し,high spin状態とともに存在する磁気構造を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光X線および中性子粉末回折法と単結晶X線回折データの併用による,対称性の検証を行った。当初の目的だった中間相から室温相への転移における原子変位は十分に精度良く捉えることはできていないが, 空間群を確定することで,磁気構造のモデルの構築が行えた。また,中性子実験に必要な試料環境を整えるために2013年度に導入した試験的高温炉での特性試験を行い,改良点等の洗い出しを実施した。全体としてはおおむね順調に進展しているものといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に沿って研究を推進していく予定であるが,単結晶中性子回折実験の予備実験から,室温相において対称低下に伴うドメイン生成により実質結晶体積が小さくなるため予想以上に磁気散乱強度が弱いことが分かった。より強いビーム強度もしくは試料サイズの検討も視野に入れる必要があるが,精密な結晶構造パラメータが重要となる。2014年度に積み残した精度の高い原子位置パラメータの決定を行うことで,解決を図るとともに,ヤーンテラー歪みとスピン状態の違いを反映したCo酸素八面体の体積の違いを明らかにし議論することを目指す。
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Causes of Carryover |
2013年度に研究実施に必要な高温の試料環境を整備する予定であったが,装置の仕様の最適化を行うために,試験的な高温システムの検証を行った。その結果,当初の仕様に対しラジエーションシールド等のいくつかの改良点が必要なことが判明し,現在検討を行っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度には,特性試験の結果から最適化した高温装置を導入することで試料環境を整備し,中性子実験の実施する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Hydrogen-Bond-Dynamics-Based Switching of Conductivity and Magnetism: A Phase Transition Caused by Deuterium and Electron Transfer in a Hydrogen-Bonded Purely Organic Conductor Crystal2014
Author(s)
Akira Ueda, Shota Yamada, Takayuki Isono, Hiromichi Kamo, Akiko Nakao, Reiji Kumai, Hironori Nakao, Youichi Murakami, Kaoru Yamamoto, Yutaka Nishio, Hatsumi Mori
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 136 (34)
Pages: 12184-12192
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Structural Study of Ferroelectric Phase in Acid-Base Supramolecule2014
Author(s)
A. Nakao, R. Kumai, S. Horiuchi, Y. Tokura, T. Ohhara, T. Hanashima, K. Munakata, R. Kiyanagi, T. Kawasaki, K. Oikawa, K. Kaneko & I. Tamura
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Journal Title
Acta. Cryst.
Volume: A70
Pages: C553
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[Presentation] Structural Study of Ferroelectric Phase in Acid-Base Supramolecule2014
Author(s)
A. Nakao, R. Kumai, S. Horiuchi, Y. Tokura, T. Ohhara, T. Hanashima, K. Munakata, R. Kiyanagi, T. Kawasaki, K. Oikawa, K. Kaneko & I. Tamura
Organizer
The 23rd Congress and General Assembly of International Union of Crystallography
Place of Presentation
Montreal, Canada
Year and Date
2014-08-05 – 2014-08-12
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