2014 Fiscal Year Research-status Report
固体-液体界面へのイオン照射による触媒微粒子担持法の開発
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25390141
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小林 知洋 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 専任研究員 (40282496)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線還元 / ナノ粒子 / 触媒微粒子 / イオンビーム / キャピラリー / 集束イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究計画にある「金属微粒子の生成・固定に関する実験」に関して、(1)白金微粒子の炭素材料への固定、(2)二元系金属微粒子の生成に関して研究を行った。 (1)に関しては、燃料電池電極等の実用材料を念頭に置き、カーボンブラック表面への白金微粒子担持を試みた。塩酸処理により親水性を向上させたカーボンブラックを分散させた水溶液にヘキサクロリド白金(IV)酸、還元剤としてのエタノールを添加して水素イオン照射(3MeV)を行い、ろ過、乾燥を行った後に電子顕微鏡(TEM, SEM)にて観察を行った。理想的には直径数十ナノメートルのカーボンブラック表面に、直径数ナノメートルの白金が均一分散している状況を想定したが、観察結果からは白金微粒子が凝集している様子が顕著であった。溶液のpH調整によるカーボンブラックの表面電位調整、カーボンブラックと白金微粒子の接触機会の増加を念頭に置いた物理的撹拌を試みたが、いずれも凝集を抑制するには至らなかった。イオンビームの線エネルギー付与(LET)の高さから、白金微粒子の生成は極微小領域で起こっていると考えられ、粒子同士の接触する確率が他の放射線種に比べて高いものと思われる。凝集を防ぐ手段としては超音波による分散、カーボンブラック表面の化学修飾、白金微粒子の表面を取り囲む凝集防止剤の導入等が考えられる。 (2)の二元系金属微粒子生成実験に関しては、イオンビームのラジカル生成密度の高さを生かし、イオン化傾向の異なる二種の金属を同時に還元する試みである。白金微粒子析出が可能ように調製した溶液に、銅イオンを含む塩を添加して水素イオンビーム照射を行った。広範囲における元素分析では僅かな銅の析出がみられるが、現在のところ二元系微粒子となっている証拠は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画にある作製試料の性能評価(電気化学測定)について、カーボンブラック上への担持量が少なく現在までに行うことが出来ないでいる。粒子の凝集を阻害する手法の検討が必要である。また、二元系微粒子作製についても、生成条件を探索中である。本項目についてはまだ実験回数が少ないため、マシンタイムの積み増しを予定している。基材上に一旦担持された微粒子が、照射継続によって成長していく様子については既に明らかにしており、照射量とイオン濃度の調整が粒径制御に有効であることが判明している。
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Strategy for Future Research Activity |
微粒子の凝集を防ぎ、分散した条件で試料上に担持するには、物理的な分散手法では難しい可能性が高く、表面修飾や分散剤の使用といった化学的手法を用いて解決する予定である。二元系微粒子の生成実験については、イオン化傾向の小さい(より貴である)金属イオンの濃度を極端に小さくする手法と、より強い還元剤を用いることにより解決している予定である。最終年度である平成27年度は前半においてこれらの課題をクリアし、後半において作製試料の電気化学測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は加速器の故障等により、想定よりもマシンタイムが少ない状況となり消耗品の使用量が少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はマシンタイムを積み増しし、平成26年度から繰り越した分の消耗品費も含めて使用する計画である。
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Research Products
(6 results)