2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25390143
|
Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
出羽 英紀 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (20360836)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 明彦 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (30360829)
冨澤 宏光 公益財団法人高輝度光科学研究センター, XFEL利用研究推進室, 副主幹研究員 (40344395)
谷内 努 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 加速器部門, 副主幹研究員 (60360822)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 加速器 / 加速空洞 / 高周波 / グラフェン / 電気伝導度 / CVD |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究においてはグラフェンの高い電気伝導度を利用した高周波空洞を製作し,高周波特性を評価することを最終目的としている。これを実現するために銅表面上を約1000°Cまで加熱し,水素およびメタンガスを流すことにより銅表面上にグラフェンを製膜する熱CVD方式による製膜を計画している。 平成26年度は平成25年度に設計した熱CVD炉のうち未完成であった,ガス導入装置,石英管,試料導入口等を製作した。ガスについては熱CVDで使用する水素(7N),メタン(5N),アルゴン(6N)の3種類の高純度ガスを準備した。ガスボンベから石英管までのガス配管を整備し,配管中にはガス流量を精密制御できるマスフローコントローラーを設置した。石英管は内径112mm, 長さ600mmとし,円筒型の空洞にグラフェンを製膜できることが特徴である。設計上の製膜試料の最大サイズは円筒形が外径100mm, 長さ200mm,角板では100mmx200mmである。真空排気系としてロータリーポンプおよびターボ分子ポンプを準備した。また低真空から高真空まで広いレンジで真空度を測定可能なクリスタルコールドカソード真空計を導入した。さらに可燃ガスの安全対策として必要な水素ガスおよびメタンガス用に対応するガス漏れ検知器等を整備した。 熱CVDの製膜試験のために高品質の銅薄膜を調査し,1社からは100mmx100mm厚さ35μmの圧延薄膜,別の1社からはA4サイズの無酸素銅薄膜を2種類(通常品および高温で結晶方位が揃いやすいもの)を入手した。装置のくみ上げおよび電気配線が完了し,薄膜上にグラフェンを製膜する実験が開始できる準備が整った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年はグラフェンを銅の薄膜上に製膜するところまで進める計画であったが,まだ製膜試験に至っていない。熱CVD装置の製造の遅れ,および熱CVD装置の設置に関して可燃性ガスの取り扱いの安全対策に時間がかかったことがその主な理由である。熱CVD装置の準備もすでに整っており,また可燃ガスに対する安全対策も完了している。27年度にグラフェンの製膜実験を進めていくことに問題はないと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はまずグラフェンの成膜を銅薄膜上に行い,安定してグラフェンが成膜できるよう製膜装置の整備および実験条件の確立を目指す。次に無酸素銅厚板でもグラフェン成膜の試験を行う。特に大面積製膜を比較的大型の電気部品への適応することを目指して,極めて高品質なグラフェンを容易に製膜できる方法を開発する。さらに3次元物体への成膜方法を実現するために,曲率を持つ銅板上にグラフェンを製膜する試験を行い,最終的には円筒銅管にグラフェンの製膜試験を行う。厚板銅板表面の前処理についていくつかの表面処理の有無によるグラフェン膜質の違いについても調査したい。 この円筒銅管の製膜試験がうまくいけば,次にグラフェン高周波空洞を製作する。現在常伝導加速空洞で用いられているクラス1の無酸素銅の基材上にグラフェン膜を製膜し,グラフェン空洞のQ値等ローレベルRFでの高周波特性の評価を行う。これらの結果をもとにハイパワー試験を実施可能な真空や冷却に対応したグラフェン空洞のハイパワーモデルの製作および評価を進める。
|
Causes of Carryover |
実験計画が遅れたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
グラフェン製膜実験に使用する。
|