2015 Fiscal Year Research-status Report
大規模線形方程式の数値解法のための合理的な前処理技法の研究
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25390145
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 祥司 東京電機大学, 理工学部, 研究員 (70333482)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前処理系 / クリロフ部分空間法 / 双ランチョス |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模線形方程式の求解では,CGSなどクリロフ部分空間(KSP: Krylov subSPace)法に基づく反復解法の前処理付きアルゴリズムが用いられることが多い.我々のこれまでの研究成果として,国際的標準として使用されている従来版の前処理付きCGS法(PCGS: Preconditioned CGS)の記述と前処理変換には数理的に非合理的な点があることを指摘し,その改善版を提案した. 今年度の研究では,改善版アルゴリズムについて一般化できる事柄を,幾つかの定理としてまとめた.さらに,従来版と改善版PCGSに,様々な前処理演算(ILU,SAINV等)を組み合わせたときの性能比較を行い,我々が提案した改善版が優位であることも示した.これらは,本研究の実施項目「1.前処理系の数理面に対する考察を行い,我々の改善版の適用可能な範囲について検証」,および,「2.複数の評価方法を用いて,アルゴリズム求解特性(収束性や求解状況など)の分析・評価を実施」に該当し,Applied Mathematics誌にて発表した. また,PCGS導出の元となるPBiCGについても様々なアルゴリズムを導出し,様々なPCGSアルゴリズムとの対応関係と数理的特性について検証した.ここでは,本研究の実施項目「3.様々な解法の核であるBiCG自体の改造やBiCG部分を他の解法に置き換えた前処理付きアルゴリズムの導出」,および,項目1に伴う「1’.簡易実装版の開発」に相当する研究も実施しており,今後の発表に向けてまとめている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度からの到達度として,「研究実績の概要」に記載した「1.前処理系の数理面に対する考察を行い,我々の改善版の適用可能な範囲について検証.簡易実装版の開発」,「2.複数の評価方法を用いて,アルゴリズム求解特性(収束性や求解状況など)の分析・評価を実施」,および,「3.様々な解法の核であるBiCG自体の改造やBiCG部分を他の解法に置き換えた前処理付きアルゴリズムの導出」の3項目は,ほぼ完了したと考えている.今後,研究成果をまとめたものを発表していく.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの到達度」のとおり,研究項目自体はほぼ完了したと考えており,今後,研究成果をまとめたものを発表していく.
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Causes of Carryover |
研究期間中に所属機関の変更があったこと,および,これまでの研究成果の発表を翌年度へ変更したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に,平成28年度の成果発表に関する経費として使用する.
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