2013 Fiscal Year Research-status Report
不均質異方性大規模ボクセルモデル内低周波電磁界の数値計算法に関する研究
Project/Area Number |
25390153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱田 昌司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20246656)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電磁界計算 / 誘導電流 / 異方性 / 導電率 / ボクセル / 不均質媒質 / 低周波 / 境界要素法 |
Research Abstract |
人体詳細モデルや実規模電気機器モデルなどの、導電率・誘電率に不均質な異方性を有する大規模ボクセルモデル内の低周波電磁界の数値解析手法について、高精度・高速・大容量化を図り、計算法の高度化を目指してきた。平成25年度の主要な成果は以下の通り。 1 DTI画像より不均質な異方性導電率を有する(比較的簡易な)頭部モデルを作成し、電界計算に成功した。 2 ボクセルモデル解析に固有の階段形状近似誤差が発生しない例題を用い、間接境界要素法の妥当性検証を実施した。検証手順は以下の通り。(1)解析式が存在する直方体導体内の誘導電界につき、異方性対応の間接境界要素法による計算電界と、異方性対応の直接境界要素法による計算電界と、解析式による真値の3者が一致することを確認した。(2) 続けて、解析式が存在しない複数の直方体をつないだ形状の導体内の誘導電界について、直接境界要素法による計算電界と、間接境界要素法による計算電界とが一致することを確認した。この手順により、解析解が存在せず、階段形状近似誤差も発生しないという条件での、間接境界要素法の妥当性検証に成功した。 3 間接境界要素法の連立一次方程式の反復解法について、正則化手法の改良を行い収束性の安定性向上に成功した。例えば耳朶のような複雑形状部分をボクセルによってモデル化すると、電気的に孤立したボクセルクラスターが作られることがあり、これが反復解法の収束性に悪影響を与えることがあることを確認した。さらに対策手法を考案し、有効性の検証にも成功した。 4 等方媒質を対象としたボクセルモデル解析についても計算の大規模化を進め、パーソナルコンピュータ上で6千万境界要素・22億ボクセルの実用解析に成功した。なお実用モデルを用いたものではないが1億境界要素の解析にも成功し、大規模計算の実行に関して多くの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案の異方性解析用の間接境界要素法の妥当性検証を、解析解と直接境界要素法とを用いることで可能とした。提案手法の根幹に関わる部分の検証に成功した点は大変重要である。またボクセル解析における連立一次方程式の反復解法の収束性に関して、問題発生の条件とその対策に知見が得られた点も、計算法の信頼性と高速化の両方に大きく寄与している。高速多重極法を用いる高速化手法についても、等方媒質での解析ではあるものの、CPUを用い6千万面要素・1億面要素の解析に成功し、また、GPUを用い6千万面要素の解析に成功しており、大規模問題への対応力を向上させている。一方、拡散テンソル画像から導電率テンソルを推定する手法そのものについての検討は十分な進展があったとは言い難いが、導電率異方性を考慮した頭部モデルの作成とそれを用いた電界解析には成功している。以上を総括すると、全体としては概ね順調な進展状況であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
計算モデルの大規模化と計算速度・精度の向上については、引き続き多面的(要素性能・正則化法・前処理・反復解法・FMM・FFT・GPUなど)に方策を検討して性能改善に努める。 ボクセルモデル解析用の高速多重極法の近傍場計算についてFFTを用いた高速化を試みる。CPUおよびGPUを用いたコードの両者を作成し、近傍場計算の効率改善の度合いを調査する。GPU用FFTについては、ライブラリを利用すべきかどうかも含めて検討する。異方性対応の6枚組面要素使用領域のみをFFT計算とする手法についても検討し、さらに3次元FFT計算部を1次元FFTに置き換えることも検討する。一方、ボクセルモデル用直接境界要素法コードも新規開発を予定している。 DTI画像より不均質な異方性導電率を有する頭部モデルを作成し、電界計算に成功したが、頭頂部に欠損があるなどモデルとしての完成度は十分とはいえず、引き続きモデル作成法についても検討する。特に人力による操作部分を減少させる必要がある。 等方媒質を取り扱うケースについては、1億面要素級モデルの実用解析を実施したい。
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Research Products
(4 results)