2014 Fiscal Year Research-status Report
時間依存密度汎関数法による発光材料解析技術の開発とその応用
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25390158
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
善甫 康成 法政大学, 情報科学部, 教授 (60557859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 覚 法政大学, 情報科学部, 教授 (30107700)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大規模並列化 / MPI-OpenMPハイブリッド並列 / MPI通信の隠蔽 / 高分子有機EL材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
実空間・実時間での時間依存密度汎関数法の能力を最大限に引き出すことを目的に、並列化効率の向上を行った。分光学的な観点から計算結果を有効に引き出すための検討も並行して実施した。 前年度までに大型計算機での最適化および並列化については、京を用いて基本的な最適化および並列化作業をさらに進めた。一部については昨年の報告書に記載した通りであるが、高い効率が得られている。H26年度は特に京の特徴を生かすSector CacheおよびMPI通信の隠蔽についてさらに改良を加えた。また計算対象などは研究協力者からのフィードバックを得ることができ、京の320ノードまでは非常に高い並列性を得ることができた。128ノードを基準としてみると約1.7倍の性能向上が得られている。 チューニングされた同プログラムを一般的な大型機に導入しその効果も確認した。128ノード(ノードあたり8コア)システムで実行させても、従来より数割の高性能化が得られたという報告を研究協力者より受けている。チューニングを行った点が普遍的な内容であり、応用が利く点が多いことが実証されたといえる。 実務におけるフィードバックによる改良では、計算系が大きくなるため電子状態解析の初期データについては、別途用意しておくことで計算初期を効率的に進める方針をたて現在作業中である。構造最適化についても機能は導入済みであるが実務上、別途用意する形が望まれており、今後並列線形性が保たれる範囲で実施可能か研究協力者と実証をすすめている。 電荷移動に伴い発生する双極子モーメントの時間的変化を解析するために、MEMを用いて効率的に計算する手法を開発した。通常FTを用いるがMEMを用いることと、時系列データを多数繰り返して利用することで実質的な時系列データを多くとることができる。特に低エネルギー側でのスペクトルの収集に非常に有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H25年度の計画は前年度に確認された手法および仕様に基づき大型機での実装をすることであり、次の2つの項目を挙げていた。「1 大型計算機での最適化および高度並列化の検討、および2 部分的実証および実務からのフィードバックの取込による改良」である。区分を(1)とした理由は以下の通りである。 項目1については前年度までに決定した並列化手法により、京にてそのアーキテクチャの構造を生かした並列化を進めることができた。また得られた成果であるチューニングされたプログラムは一般的な大型計算機でもその効果を検証している。項目2については研究協力者によるフィードバックもあり、実務で用いられるサイズ、原子数など有効な情報提供をいただき、チューニングの成果を検証するのに役立った。今後とも実務に役立てることができるプログラムに仕上げるため、研究協力者との打ち合わせを更に密に行っていく予定である。また同プログラムを用いて効率的な時間発展の結果として得られたデータの有効な利用手法の開発を行うこともできた。なお成果については共同で学会発表および論文投稿を行っている。 以上の進捗状況により達成度を区分(1)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度までに、高度並列化のための手法を確認し、それに基づき大型機での実装を行うことができた.特に、高度並列化と高効率化は計画以上に進み、同プログラム上で効率的な時間発展の手法の開発も進めることができた.これらを用い応用展開することが今後の大きな課題である.また実務に適した解析が進められるように、研究協力者との打ち合わせを更に密に進め、実務上の課題の抽出と、その課題の解決に努める.
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Causes of Carryover |
ソフトウェアの外注費が予想より若干高めとなり、その分を次年度に支払うこととしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度予算確定後、差額を含め早急に支払を行う予定.
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