2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400003
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小田 文仁 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00332007)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有限群 / バーンサイド環 / マッキー関手 / グリーン関手 / 丹原関手 / 指標環 / 表現環 / ダブルバーンサイド環 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限群Gと、G共役の作用と共通部分をとる操作で閉じているGの部分群の族Xから構成される一般バーンサイド環Ω(G,X)が得られる。この環は、有限G集合の充満部分圏のグロタンディーク群をとり、その群のゴースト環への単射的な環準同型を用いることで構成される。バーンサイド環の単数群に関する研究結果は存在しているが、XがGのすべての部分群ではない場合の、一般バーンサイド環Ω(G,X)の単数群に関する研究は行われていなかった。そこで、Gとして対称群、Xとしてそのヤング部分群全体を考えた場合の研究を昨年度から行ってきたが、その成果がJounal of Algebraに掲載された。また、その成果を、RIMS研究集会「有限群とその表現,頂点作用素代数,代数的組合せ論の研究」(2014年12月16日(火)~19日(金) 京都大学数理解析研究所1階111号室)と日本数学会2015年度年会代数学分科会で講演した。 圏論を応用した有限群の表現論の専門家であるジャック・テヴェナ(Jaque Thevenaz)スイス連邦工科大学ローザンヌ校教授とセルジュ・ブック(Serge Bouc)フランス国立科学研究センターアミアン基礎・応用数学研究所(ピカルディー・ジュールヴェルヌ大学)研究ディレクターの2名を招聘し、RIMS研究集会「有限群のコホモロジーとその周辺」(2015年2月18日(水)~20日(金)京都大学数理解析研究所1階111号室)で講演していただいた。 鹿児島大学の中岡宏行氏との共著で、「有限群に関連した圏論的構成」『数学』 日本数学会, Vol.67, No.1, pp.55-81 (2015)が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般バーンサイド環の単数群に関する研究は未知の領域であり、多大な困難が予想されたが、その中でも最も理解しやすいと考えていた、対称群とそのYoung部分群の族から得られるものの場合に、対称群の指標環との同型、指標環の単数群に関する一般論を応用することにより解決できることに気付けたことが多いな前進であった。しかも、交代指標に関する新たな知見として、一般バーンサイド環の一般論から導かれる、帰納的ではない公式を得ることもできたことは、当初の予想を遥かに上回る帰結であり、昨年度の遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
一般バーンサイド環の研究では、有限群Gと共通部分をとる操作で閉じる部分群の族Xの対があまり多くはないと思われていたが、そうではない可能性が高いという状況証拠が最近えられた。そのため、そのような対に関する一般バーンサイド環、および、そこから得られるマッキー関手、グリーン関手の一般論を構成するとともに、丹原関手の一般論の構成の可否についても検証しながら推進する。
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Causes of Carryover |
年度末に外国人2名を招聘したために、旅費が確定してから年度内の残額が決まったが、その金額に対する使用計画立案が間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
北海道大学で行われる群論セミナーに例年より多く参加し、旅費として使う。
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