2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400028
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾崎 学 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80287961)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絶対Galois群 / Neukirch-内田の定理 / 代数体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,2014年度も無限次代数体に対するNeukirch-内田の定理の拡張について研究を行い,一定の進展を見た. Neukirch-内田の定理は,有限次代数体の絶対Galois群の構造がその代数体の構造を決定づけるという主張である.その証明においては,絶対Galois群の群構造に各素点に対する分解部分群が``encode"されているという事実が鍵であり,当に絶対Galois群と素数との深遠な関係が体現されている定理と言える.無限次代数体Kの絶対Galois群G_Kは,有限次代数体のそれと比べて持っている情報は少なくなるので,そこから容易にKを復元することはできない.昨年度の研究においてKが有限次代数体の円分的Z_p-拡大という特殊な無限次代数体のときにNeukirch-内田の定理を証明することに成功していたが,その際の手法をさらに強化することで,より広範は代数体の族に対して定理を証明することに成功した。詳しい定理のステートメントは以下のとおりである: Cを有理数体QのGalois拡大体の有限次拡大体で,任意の正整数Nに対して,p=1(mod N)なるある素数pがその次数(超自然数として)を割り切らないようなもの全体の族とする.K_1,K_2をCに含まれる代数体,φをK_1の絶対Galois群G_1からK_2のそれG_2への位相同型とする.このとき,Qの絶対Galois群の元αで,α(K_1)=K_2, φ(σ)=ασα(-1)なるものが一意に存在する.特にK_1とK_2は同型である.Cはすべての有限次代数体と有限次代数体の円分的Z_p-拡大体を含むことを注意しておく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に得られた無限次代数体に対するNeukirch-内田の定理は,有理数体の絶対Galois群G_Qの構造について知見を与えている.つまりG_Qのある程度「大きな」閉部分群のすべての自己同型が,G_Qの内部自己同型から引き起こされるという事実を意味している.従ってこれは本研究遂行において重要な研究成果であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後もNeukirch-内田の定理のさらなる改良を目指すとともに,有限次代数体のDedekindゼータ函数が,その代数体上の制限分岐拡大のGalois群の構造をどこまで規定するかという問題にも取り組む.具体的には,有限次代数体の算術的同値性が,ほとんどすべての素数pについて,その体上の最大S-分岐p-拡大のGalois群の構造を決定することを証明することを目標とする.
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Causes of Carryover |
予定されていた研究出張(研究打ち合わせ)が,キャンセルになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にキャンセルされた研究出張を行う。
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