2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
那須 弘和 東海大学, 理学部, 講師 (30535331)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無限小変形 / ヒルベルトスキーム / 障害類 / 変形理論 / 空間曲線 / K3曲面 / 3次曲面 |
Research Abstract |
本研究の目的は高次元代数多様体上の曲線の無限小変形の障害類が消えないための条件を明示的に与える事である。Mumfordの与えた、空間曲線のヒルベルトスキームの生成的に被約でない既約成分の例を一般化、もしくは簡易化することにより、曲線の変形障害と曲線を含む曲面上の他の曲線(例えば(-1)曲線)との間の関係を理解する事を目的として研究を行っている。 本年度は昨年度に引き続き非特異4次曲面に含まれる空間曲線の射影空間内における変形障害について研究を進めた。特に楕円曲面の場合についても考察した。その結果、4次曲面上では(-2)曲線や楕円曲線が、3次曲面上の(-1)曲線と良く似た役割をつとめ、曲面上の他の曲線の変形に障害を引き起こすことがわかった。この例を一般化し、3次元代数多様体上の曲線の1位無限小変形が2位変形へのリフトの際に障害を受けることを、有理曲線や楕円曲線に沿って極をもつ余次元1部分多様体の極付無限小変形を用いて示し、向井茂氏との共同研究で得られた1位無限小変形に対する障害性判定定理を精密化することに成功した。本研究結果を空間曲線のヒルベルトスキームに応用し、ヒルベルトスキームの生成的に被約でない既約成分の新しい例を構成した。北海道大、京都大、首都大の研究集会において本研究成果に関する発表を行った。また東京電機大、高知大、京都大で開催された研究集会に参加し関連分野の研究者と議論を行ったことは、研究を進める上で有意義であった。12月に京都大で開催されたFano研究集会の講演内容を整理し、数理解析研究所の講究録に投稿し、採録が予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己交点数が0の非有理曲線に沿って極を持つような極付無限小変形を用いて変形の障害性が示せることは当初の予定にはなく、研究を新しい展開に導くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
K3曲面に含まれるような3次元代数多様体上の曲線の変形障害に関する研究を進め、一連の研究結果を整理することを目標とする。また曲線の変形から誘導される直線束の変形が鍵となることが計算結果から予想され、これについて詳しく調べることが必要と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究集会の参加と専門図書の購入が予定より少なかった為に未使用額が生じた。 研究集会の参加と専門図書の購入を計画的に行う。
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