2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400048
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
那須 弘和 東海大学, 理学部, 准教授 (30535331)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無限小変形 / ヒルベルトスキーム / 障害類 / 4次曲面 / K3曲面 / ファノ多様体 / 有理曲線 / 楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は高次元代数多様体上の曲線の無限小変形に対しての障害類(obstruction)が消えないための条件を、明示的に与える事である。マンフォードは、空間曲線のヒルベルトスキームの生成的に被約でない既約成分の例(1962)を発見した。この例を理解するための一般化の過程で明らかになった、曲線の変形障害と多様体上の特殊な有理曲線(例えば(-1)曲線)との間の関係について興味を持って調べている。 本年度は非特異3次元Fano多様体上の曲線の変形障害に関する研究を行った。曲線がK3曲面に含まれるという仮定の下で、曲面上の有理曲線と楕円曲線を用いて、変形障害を受ける(obstructed)ための十分条件を与えた。また同時に、K3曲面上に有理曲線と楕円曲線のいずれも存在しないならば、変形障害を受けない(unobstructed)ことも示した。最初の結果を3次元4次超曲面上の曲線に適用し、同超曲面のヒルベルトスキームが生成的に被約でない既約成分を可算無限個持つことを示した。期間全体を通して得られた他の結果としては、与えられた1位無限小変形が2位変形へのリフトの際に障害を受けるための十分条件を与えた向井・那須の結果(2009)の一般化が得られた。この結果により、マンフォードの例をより広範囲に一般化できる可能性が出てきた。 本年度はいくつかの国内研究集会における研究発表の他に、埼玉大学において本研究課題に関する集中講義を行った。夏にユタ大学で開催されたAMSの国際会議に出席し、年度末はオスロ大学の代数幾何学セミナーにおいて研究発表を行い、海外の研究者達とも意見交換を行った。 論文"Obstructions to deforming curves on a 3-fold, III: Deformations of curves lying on a K3 surface"が完成し、プレプリントとして発表し、投稿した。
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