2015 Fiscal Year Annual Research Report
モジュライ空間上のKZ方程式の基本解とリーマン・ヒルベルト問題
Project/Area Number |
25400054
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上野 喜三雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70160190)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モノドロミー保存変形 / KZ方程式 / 多重対数関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,これまでの研究をさらに次元を高めてモノドロミー保存変形と多重対数関数,あるいは,KZ方程式に付随したモノドロミー保存変形の理論を目指して研究を開始した.まず,9月の日本数学会秋季総合分科会(於 京都産業大学)セッション無限可積分系の一般講演において「2重対数関数とモノドロミー保存変形」と題して講演を行い,次いで,3月の日本数学会年会(於 筑波大学)の無限可積分系の一般講演にいて「KZ方程式に付随したモノドロミー保存変形の正則解について」と題する講演をおこなった. これらの研究では,まず,KZ方程式に付随したモノドロミー保存変形を定式化する.これは確定特異点の常微分方程式に対するモノドロミー保存変形であるが,通常のシュレジンジャー理論とは異なり,出てきた変形方程式の特異集合が正規交叉しており,また,変形方程式と,モジュライ空間M_{0,n}の基本群(のリー環)の部分環の要素が1対1に対応しているという著しい特性を持っている.申請者はこの枠組みの中で,これまでのモノドロミー保存変形の理論に幾何学的視点を与えることができると思っている. 第一の講演では,この変形方程式の原点における正則解として,2重対数関数を含む解を発見したという報告であり.第2の講演では,原点における正則解の存在と一意性の証明が,Tahara-Gerared理論をベースにした理論を拡張して行われることを報告した. なお,先ほど,我々の枠組みの中で,変形方程式は基本群のリー環の部分環要素と対応すると述べたが,,原点における正則解も(先の部分環を含む)部分環の要素と1対1に対応している. これらの理論の詳細については現在,論文を執筆中である.
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