2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秦泉寺 雅夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グロモフ-ウィッテン不変量 / ミラー定理 / 射影空間の超曲面 / 対角的寄与 / 留数積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においては、射影空間の超曲面の種数0のグロモフ-ウィッテン不変量の留数積分表示における対角的寄与(当初対角アノマリーと呼んでいたもの)の一般的な消去方法を発見することが出来た。まず、樹状グラフGammaに付随する被積分関数の積分順序に関して、中心頂点vを指定し、valency 1の頂点から中心頂点に向かう順に積分することで、固定された積分値I(Gamma,v)を得る。次に、Gammaの頂点vのvalencyをval(v)として、1/2(2-val(v))I(Gamma,v)の頂点vについての和をとることで、積分I(Gamma)を得る。このI(Gamma)を樹状グラフGammaに対する寄与としてGammaに関する和を取れば、対角的寄与が全て消え、グロモフ-ウィッテン不変量が正しく計算できる事がわかった。これにより、超曲面の種数0のグロモフ-ウィッテン不変量のミラー定理を私の方法で幾何学的に証明する事が可能になった。ただし、対角的寄与が消去されるメカニズムは、かなり入り組んでおり、自明でない組合せ論的恒等式を数多く証明する必要がある。現在、論文を執筆中であるが、完成にはまだ時間がかかる見通しである。なお、今年度秋の日本数学会において、この対角的寄与の消去に関する中間的な結果を発表した。また、2月の立教大学におけるセミナーで、対角的寄与の消去の方法と、ミラー定理の証明のアウトラインに関する結果の紹介を行った。
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