2013 Fiscal Year Research-status Report
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25400072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松澤 淳一 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (00212217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂寺 知成 近畿大学, 理工学部, 教授 (30217616)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 極小曲面 / ジャイロイド曲面 / 空間群 / 離散曲面 |
Research Abstract |
異なる分子がつながってできる高分子の集団が自己組織化し共連続構造を成す際に、各成分の界面が周期的極小曲面を形成することがある。これらは、ソフトマターや多孔性物質など、ナノスケールの物質の構造に、高い対称性を持つ幾何構造として現れる。本研究課題「結晶の対称性と極小曲面に関する研究」の研究目的は,こうした極小曲面上に、分子配置として存在する双曲的アルキメデスタイリングの分類およびその総合的研究を数学および物理学の立場から行い,その構造を幾何学的,解析学的に特徴付けることである。 本年度は、これらの目的のために、離散曲面を構成するための準備を行った。具体的には、ジャイロイド曲面の離散化に必要なモデルの構成と、それらと可積分系の関係を調べる研究を行った。この研究に関連しては、空間群による対称性を用いた極小曲面の構成法を整理し理解するため、ジャイロイド曲面の発見者である Alan Shoen氏をアメリカイリノイ州にある自宅に訪ね、共同研究者と共に研究交流を行った。その結果、これまで知られていなかったジャイロイド曲面の幾何学的性質についての知見が得られ、大いに成果があった。この内容については、教科書を共同研究者と共に執筆予定である。また、Shoen氏とのディスカッションを通じて、ジャイロイド曲面と離散曲面との関係性に関して得られた知識を元に、対称性からの曲面の構成法について、群と解析学を用いた方法の研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ジャイロイド曲面の離散化と可積分系との関係を研究するための準備期間として、研究概要にある内容の研究を行った。特に、ジャイロイド曲面の発見者とのディスカッションからは、これまで公表されていなかった研究成果を得ることができ、本研究に大いに貢献した。また、その内容を教科書として出版する事は、この分野の研究に寄与する事になると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度に得られた結果をさらに発展させ、Schwarzのプリミティブ曲面、ダイヤモンド曲面、ジャイロイド曲面に適用し、タイリングの分類、曲面の離散化を行う。さらに可積分系の理論からの総合的理解を目標とする。また、これらの極小曲面の作るネットワーク構造に付随した3次元格子の離散調和解析と、タイリングおよび離散曲面、離散可積分系の理論との比較研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の分担研究者への分担金は900千円であった。787.5千円のRsoft(フォトニックの電磁解析ソフトウェア)および100.8千円のインテルコンパイラー(ワークステーション用ソフトウェア)を購入し、11.7千円(1.3%)が残ったが、予算をソフトウェア購入費に当てるという本予算の使用計画はほぼ達成されている。残金について、年度末にnature論文出版(2月13日)、学会(3月29日、30日)関係など、それらに伴う不確定の出費が予想されたため、本予算も含め、種々の予算を年度末に残した。最終結果として、繰り越しのできる科学研究費については未消化のまま年度を終了することになったため。 上記記載の11.7千円の残金は研究費の使用が可能になった早い時期に、消耗品などの小額物品その他に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)