2013 Fiscal Year Research-status Report
位相空間論および幾何学的トポロジーを用いた位相力学系の研究
Project/Area Number |
25400079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 久男 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70152733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 位相力学系 / 幾何学的トポロジー / カオス / 周期点 / 色分け(彩色) / 位相次元 |
Research Abstract |
本研究では、幾何学的トポロジーの問題と位相力学系の問題を融合させて研究を行っている。特に、位相力学系では相空間として一般のコンパクト距離空間を取り扱い、連続写像のカオス的な性質を位相的・エルゴート的に考察している。複雑な連続写像の力学系は複雑なトポロジーを導くことが知られている。アトラクターや不変集合などは大変複雑な構造をしている場合が一般的で、複雑なコンパクト距離空間(幾何学的トポロジーの問題)を研究対象にせざるを得ない。この場合、通常の微分可能性を仮定した力学系理論とはかなり異なったものになる。本研究の関連研究で、これまでの研究代表者の研究によって連続写像のcoloring(色分け)問題について従来の理論を大きく拡張することに成功していた。特に、位相力学系的な発想から eventually coloring の概念を新たに導入し、有限次元位相空間上の不動点のない連続写像の eventually coloring number に関する重要な定理を得ていた(J. Math. Soc. Japan, Topology Proc. Topology Appl.で研究成果を発表)。またその定理の応用として次の結果を証明していた:一般のn-次元位相力学系に関し、その周期点の集合の位相次元が零次元以下であれば、その力学系を零次元力学系の2のn冪fiberのsemi-conjugateで表現できる(Topology Appl.)。平成25年度の本研究では、これまでの結果をさらに一般的な定理に拡張した。まず、連続写像と位相空間の問題に関して、周期点集合の性質を保存するコンパクト化が存在することを示し、これまでの定理を局所コンパクトな位相空間上の定理に拡張することに成功した。これらの結果は、幾何学的トポロジーと位相力学系研究の進展に大きく貢献する結果と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究では、これまでの結果(coloring の定理)をさらに一般的なものに拡張することに成功した。まず、連続写像と位相空間の問題に関して、周期点集合の性質を保存するコンパクト化が存在することを示し、これまでの定理を局所コンパクト空間上の任意の連続写像に関する定理に拡張した(2編の論文:Topology Appl.)。これらの結果は、幾何学的トポロジーと位相力学系理論研究の進展に大きく貢献する結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでの研究を、特にcoloring の研究をさらに発展させ最終的な定理の証明までつなげたい。そのためには、transitive, minimal, expansiveといった連続写像の力学的な性質を保存する位相空間のコンパクト化の問題を解く必要がある。まずは、 ウォールマン・コンパクト化の理論とこれまで得られた理論とを融合させながら、研究を進める方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額56,720円については、既に物品をカード使用で購入済みである。しかしながら現在未払いの状況である。 平成26年度中にカード支払を行う予定である。
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Research Products
(6 results)