2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸本 大祐 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60402765)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホモトピー論 / 組み合わせ論 |
Research Abstract |
抽象的単体複体と、その頂点集合でラベル付けされた空間ついに対して定まる、polyhedral productと呼ばれる空間について研究した。この空間は(高次)Whitehead積を定義する際に使われるなど、ホモトピー論的に重要な空間であるとともに、近年のトーリックトポロジーの発展から得られた、組み合わせ代数との関わりにおいても重要な空間である。特に、空間対が錐とその底空間であるときが重要であり、底空間が円周であるときはmoment-angle複体と呼ばれる、トーリックトポロジーにおいて基本となる空間である。moment-angle複体のコホモロジーはそれを定める抽象的単体複体のStanley-Reisner環のある導来代数となっており、この代数の性質は盛んに研究されてきた。本研究では、この代数の性質をpolyhedral productのトポロジーを通して、幾何学的に調べることを目的としている。この代数に関わる重要な性質の一つがGolod性と呼ばれるもので、つまり、積と高次なものを含むMassey積が自明になるということである。当然、すべての抽象単体複体がこのような性質をもつ訳ではないが、shellable複体やCohen-Macaulay複体、また、それらの非純粋的な拡張である抽象的単体複体に関して、Golod性が知られている。本研究では、このGolod性を、polyhedral productを小さな懸垂空間の一点和に分解することにより、幾何学的に拡張した。その際の手法は、古典的ホモトピー論やホモトピー余極限といった幾何学的な手法と、shellabilityやその拡張に対する組み合わせ論的手法を合体させたものであり、これまでにないホモトピー論と組み合わせ論の研究の方向性を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はpolyhedral productを通した、ホモトピー論と組み合わせ論の総合的研究と、そのホモトピー論への応用にある。polyhedral productのトポロジーに関してはホモトピー論と組み合わせ論の手法を合体させることにより、Stanley-Reisner環のGolod性の幾何学的拡張などに関して結果が得られた。この結果はこれまでにないタイプのものであり、これからの発展性もある。また、この手法により、Golod性以外のStanley-Reisner環に関する性質を調べることが可能である。したがって、研究目的の前半に関しては、第一年度目ということを考えて、十分に進展しているといえる。上記の結果の背後には(高次)Whitehead積があると考えられるが、これに関してはまだ研究途上である。さらに、polyhedral productを写像空間等の対祖父に応用することを考えているが、こちらはまだ準備段階である。したがって、研究目的の二つ目に関しては、あまり進展していなし。以上により、第一年度目であることから、区分「おおむね順調に進展している。」を選んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はまず、polyhedral productと呼ばれる、抽象単体複体とその頂点でラベル付けされた空間対から構成される空間で、高次Whitehead積、つまり、ループ空間の非可換性に関連するホモトピー不変量と密接に関わりのあるものの, ホモトピー論的、組み合わせ論的性質を調べ、次にその結果を写像空間等に応用することにある。まず、polyhedral productに関する研究は、関連するStanley-Reisner環のGolod性に関する研究をさらに進展させる。これに関してはBahri, Bendersky, Cohen, Gitlerによる一回懸垂した際のホモトピー分解を自然に実現するフィルトレーションをpolyhedral productに定義し、それを解析することにより行う。また、polyhedral productの特別な場合である、moment-angle複体のコホモロジーだけではなく、より一般のpolyhedral productのコホモロジーの環構造について、フィルトレーションとともに調べる。その後、Golod性に関する研究結果である、polyhedral productのウェッジ分解を用いて、高次Whitehead積などの高次作用素との研究を調べ、これを写像空間等に応用する。特に、写像空間の評価ファイブレーションの連結写像に関して詳しく調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初招聘する予定だった外国人研究者の都合が付かず、次年度に招聘することになったため。 上記招聘予定の外国人研究者を期間をずらして招聘する。
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