2015 Fiscal Year Research-status Report
有理ホモロジー球面の量子不変量から得られる級数と関数の性質とその拡張の研究
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25400094
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 敏恵 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (40253398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子不変量 / colored Jones polynomial |
Outline of Annual Research Achievements |
Vogelによって定義されたLie algebraを統一すると考えられるUniversal Lie algebra が定義され、それは3つのパラメータをもつ。Mkrtchyanは、3次元球面の量子不変量がその3つのパラメータで表せることを示した。その3次元球面に対する結果のレンズ空間への拡張を考察した。 また、Henning不変量としてのWitten-Reshetikihin-Turaev 不変量の研究を行った。Henning 不変量としての表示は、量子群の中心の元を求めることに帰着される。Feigin, Gainutdinov, Semikhatov, Tipuninによって与えられたsl_2に対応する量子群の中心の特別な基底に関して、WRT 不変量を与える中心の元の表示を与えた。 さらに、結び目のn-colored Jones polynomialのnが十分大きいとき、maximum, minimum degreeと結び目のboundary slope の関係をあたえるslope conjectureの証明を目的として、無限個の非交代双曲結び目を含む、周期結び目のあるクラスについて、前年度えられたcolored Jones polynomial の公式をもとにそのminimum, maximum degree の計算を行った。具体的には、Positive 3-braids のあるクラスのclosureとして得られる結び目について、degreeの計算を行った。その結果から、Slope conjectureは正しいと予測される。また、結び目KのWhitehead double のn-colored Jones polynomialのdegreeの計算を行い、Kのn-colored Jones polynomialのdegreeとの関係を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Mkrtchyan はVogel によって定義されたUniversal Lie algebraの3つのパラメータによる、3次元球面の量子不変量の表示、積分表示、Barnes G-functionによる表示を与え、それらの関係を示した。これらの結果のレンズ空間への拡張を考察したが、新たな解析的性質の導出には至らなかった。 また、Witten-Reshetikhin-TuraevのHenning 不変量としての量子群の中心元を用いた表示、また、不変量を与える中心の元を得ることにより、それらの性質の導出を試みたが、あたらしいものは得られなかった。 また、結び目のcolored Jones polynomial のslope conjecture の証明を目的として、positive 3-braid の閉包として得られる結び目のクラス(双曲結び目を含む、周期結び目のあるクラス)についてcolored Jones polynomial の公式とmaximum degree、また、boundary slope の計算はできたが、minimum degree の導出に至らず、予想の証明には至らなかった。更に、これまでの合成結び目の結果の応用が可能な場合について、degreeの計算を試みたが、評価のためには変数を減らす必要があり、公式の導出には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Mkrtchyan による、Vogel によって定義されたUniversal Lie algebraの3つのパラメータによる、3次元球面の量子不変量の表示のレンズ空間への拡張の前年度の考察をもとに、他の知られた関数との関係など、量子不変量の新たな解析的性質の研究を行う。それらの結果のザイフェルト多様体への拡張を行いたい。 また、前年度、Witten-Reshetikhin-Turaev 不変量の量子群の中心の元を用いたHenning 不変量としての公式、また3次元多様体の不変量を与える別の中心の元を得たが、それらの性質、幾何学的意味の解析を行う。最近、Ibanzによって得られた、それらのbraidsを用いた中心の元の表示を用いて不変量の性質を研究する。更に、最近、葉廣、Leらによって得られたunified Quantum invariantは、integral homology sphereについては、WRT不変量を与えることが示された。具体的なintegral homology sphereについて、その計算を行うことにより、量子不変量の性質の研究を行う。 また、結び目のcolored Jones polynomial のslope conjecture の証明を目的として、周期結び目のあるクラス、positive braid表示をもつ結び目について、前年度えられたcolored Jones polynomial の公式をもとにそのminimum degree の計算を引き続き行い、それらのクラスについて slope conjecture の証明を行う。前年度得られたこの公式は、一般のbraid表示からの計算に応用が可能であると考えられる。これをもとに、予想が証明されていない他の結び目についても、slope conjectureの証明を試みる。
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Causes of Carryover |
怪我のため、参加予定、および成果発表の予定の研究集会に参加できなかったため、使用予定であった旅費が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度使用しなかった旅費を利用し、研究集会において成果の発表を行う。
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Research Products
(3 results)