2016 Fiscal Year Research-status Report
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25400096
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中村 信裕 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10512171)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲージ理論 / 4次元トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に得られた主たる研究成果は次の三つである.一つ目は,整係数ホモロジー3球面 Y を境界にもつ局所係数交叉形式が正定値であるような4次元多様体に対して,交叉形式の characteristic vector のノルムが, 交叉形式の階数と Y の Froyshov 不変量によって評価できることを示したことである.これは通常の係数の場合の Froyshov の結果の局所係数におけるアナロジーであり,研究課題の一つである Pin(2)モノポール方程式の4次元トポロジーへの良い応用を与えるものである. 二つ目の成果は,実部を持たない実構造付きの4次元シンプレクティック多様体(正確には実構造によるそれの商多様体)の, Pin(2) モノポール不変量の非消滅定理である.これは Taubes によるシンプレクティック多様体の Seiberg-Witten 不変量の非消滅定理と並行な結果であり,Pin(2) モノポール方程式の新たな側面を引き出すものとして今後の展開が期待される.この研究は継続中であり,実ケーラー曲面のPin(2)モノポール不変量の計算を現在進めているところである. 三つ目の成果は加藤毅氏,G. Kasparov 氏との共同研究で,スピン多様体に対する古田幹雄氏による10/8不等式のスピン多様体の族への拡張に関する研究である. その他の事柄として,石田政司氏との共同研究で,正スカラー曲率計量の空間のトポロジーに関する族のPin(2)モノポール方程式の応用に関する研究,安定コホモトピー版Pin(2)モノポール不変量の研究を継続中である. また石田政司,松尾信一郎氏との共同研究で,Pin(2)モノポール方程式の山辺不変量への応用に関する論文が Mathematical Research Letters より出版された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pin(2)モノポール方程式に関する研究が快調であると言って良い.一方,他の研究課題,例えば族のゲージ理論の応用は,当初は思うように進まない状況がややあったが,現在 Pin(2) モノポール方程式と結びつく形で進展しつつある.総じて順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
順調であるPin(2)モノポール方程式に関する研究は手を緩めることなく研究を継続していきたい. 研究成果が着々と得られている一方で,論文にまでまとめ切れていないものがいくつかある.次年度は最終年度でもあるので,こちらの作業もしっかり進めていきたい.
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Causes of Carryover |
学務等の外的な事情,また研究を進めていく過程での内的な理由からいくつかの出張を取りやめたことが主たる理由の一つである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を円滑に進めるためのツールとして最近進歩の著しいタブレット端末の購入等,またはスケジュール等が合えば国外で行われる国際学会のための海外出張に用いる.
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