2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400097
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀子 正喜 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (50270343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トポロジー / 代数幾何 / 分類空間 / チャウ環 / サイクル写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数幾何で重要な問題であるホッジ予想は有理数係数のサイクル写像の全射性についての予想である。その整数係数版の反例は1960年代に Atiyah と Hirzebruch により分類空間のコホモロジーのねじれを用いて構成されている。数論幾何でのホッジ予想の類似である有限体の代数的閉体上の非特異射影多様体のサイクル写像の有理係数上の全射性についてのテイト予想の整数係数版の反例の構成に Colliot-Thelene と Szamuely が2010年に発表した論文で成功した際には Atiyah と Hirzebruch の整係数ホッジ予想の反例の構成と同様に分類空間のコホモロジーのねじれを用いていた。ねじれではない元での反例を構成したのが2014年1月にプレプリントサーバー arXiv にアップロードされた Pirutka と Yagita の論文である。Pirutka と Yagita の論文はねじれのある例外リー群の分類空間のコホモロジーを使っていたので標数 p が 2,3,5 の時にしか反例が構成できなかった。2014年4月に Pirutka と Yagita の論文を発見し、その一般化を考え、古典群 SU(p)xSU(p) の中心の部分群による商群を用いて Pirutka と Yagita の結果をすべての素数 p に一般化することに成功した。この結果を2014年8月に論文にまとめてプレプリントサーバー arXiv へアップロードし学術雑誌に投稿した。この論文は "On the integral Tate conjecture over finite fields" という題名で Math. Proc. Cambridge Philos. Soc. の2015年5月号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)平成25年度の研究開始からまだ2年しか経っていないがこの間に査読付き学術雑誌に論文2本の掲載が決定している。 (2)チャウ環から4次元コホモロジーへのサイクル写像への分類空間のコホモロジーの応用など研究開始時点では想定していなかった「低次元の代数的位相幾何学」の代数幾何、数論幾何への応用が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始時点では想定していなかった「低次元の代数的位相幾何学」と呼ぶべきものの姿がおぼろげながら見えてきたように思える。本来の目標であった射影古典群の分類空間のコホモロジーの研究に加えて分類空間の低次元のコホモロジーの代数幾何、数論幾何への応用が得られている。この新展開をさらに発展させるべく射影一般線型群のチャウ環とサイクル写像の研究、分類空間とその非特異射影多様体による近似、コホモロジカル不変量の研究についても研究を進めてゆく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額については研究集会参加等のための旅費として使用する予定であったが個人的な事情からいくつかの参加を考えていた研究集会に出る機会を逃してしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り研究集会参加等のための旅費として使用する。より多くの研究集会参加等を行う。
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