2013 Fiscal Year Research-status Report
3次元多様体の基本群の副有限完備化と位相不変量の関係について
Project/Area Number |
25400101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
北野 晃朗 創価大学, 工学部, 教授 (90272658)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 基本群 / 結び目 / トーラス結び目 / 副有限完備化 / 自由積 |
Research Abstract |
今年度は3次元球面内のトーラス結び目の場合にその結び目群の副有限完備化に関する研究を行った。トーラス結び目は互いに素な正の自然数(p,q)に依って記述される。それに依って定まるトーラス結び目をT(p,q)と表し、その結び目の補空間の基本群(以下、単に結び目群と呼ぶ)をG(p,q)と表す事にする。 G(p,q)は無限巡回群を中心に持ち、その中心での商群を考えるとそれは位数pの有限巡回群と位数qの有限巡回群の自由積という構造をもつ事が知られている。 2つのトーラス結び目T(p,q)とT(p',q')が与えられたときに、その結び目群の副有限完備化が同型ならば、元々の結び目群G(p.q)とG(p',q')は同型か、すなわちT(p,q)とT(p',q')は結び目として同型か?という問題に関して研究を行ない、これは正しい事を証明した。これは中心の無限巡回群のG(p,q)の中で副有限完備化がそれ自身の副有限完備化になる事、副有限完備化の間に同型写像が存在するときに、その中心の副有限完備化の限がどのように対応しているか、また中心で割ってその商群の位数pの有限巡回群と位数qの有限巡回群の自由積の副有限完備化を比較する事により証明される。2つの群の副有限完備化の比較に関しては、それらの副有限完備化が同型である事と元々の2つの群それぞれから任意の有限群への準同型写像の全体の集合が同一視される事を用いる事によりなされる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結び目のAlexander多項式が副有限完備化に関する研究は遅れているが、トーラス結び目が副有限完備化が同型であるならば、結び目群が同型である事を直接的に代数的な議論のみで証明する事ができたので、全体としては順調を考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
結び目のAlexander多項式が副有限完備化に関する研究に関しては、直接的に扱った先行研究は見つけていないが、極めて関係すると思われる研究はあるので、それらに関して詳細に手法や結果に関して解析する事を行なう。 トーラス結び目の場合の証明の重要なポイントは、基本群に中心が存在するという事であるので、結び目だけではなく、ザイフェルト束空間の場合についてもトーラス結び目の場合の議論が成り立つ事が予想されるのでそれに関して研究を進める。また、有限群への全射は幾何学的には有限被覆であるので、そちらの観点からも研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定をしていた国内の出張予定を研究の進捗状況を考慮して取りやめ、その分を当初は知らなかった研究集会へ参加する方が研究の進展にとってより効果的であると考えたため。 6月にフランス・ルミニーにある国際数学研究所で行なわれる3次元多様体の幾何構造と量子不変量に関するサマースクールに参加し、研究課題に関連するこの分野の進展に関して情報を収集する。また基本群の表現を用いた位相不変量に関する研究を行なっているVincent Florence氏(Pau大学)をたずねて、研究課題に関連するRdeiemeister torsionについて情報の交換を行なう。
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