2014 Fiscal Year Research-status Report
3次元多様体の基本群の副有限完備化と位相不変量の関係について
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25400101
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
北野 晃朗 創価大学, 工学部, 教授 (90272658)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Reidemeister torison / Dehn surgery / Brieskorn manifold / Chebychev polynomial |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、基本群の表現を用いて定義される位相不変量の一つであるReidemeister torsionに関する研究を行った。特に3次元球面内のトーラス結び目をDehn手術して得られるBrieskorn型ホモロジー球面の場合に、SL(2;C)_既約表現に対して定義されるReidemeister torsionの値を零点にもつトーション多項式がどのように振る舞うかに関してChebychev多項式を用いた記述を前年度得られた形からさらに精密化した。これに関しては、2014年8月にソウルで行なわれた国際会議Seoul ICM2014, また日本数学会秋季総合分科会において報告をした。 また8の字結び目をおなじくDehn手術して得られる多様体に関して、Reidemeister torsionそのものをSL(2;C)-表現のmeridianの像のtraceで表す公式を与えた。 群のLie代数係数1次元コホモロジーは対応するLie群への線型表現の共役類の空間のZariski接空間としての解釈がある。従ってLie代数係数のコホモロジーが全て消える場合はSL(2;C)-表現が共役類の空間の中で変形ができない場合であり、その場合にSL(2,C)-表現とそのAdjoint表現を合成してLie代数係数のReidemeister torsionは定義できる。 2次元複素ベクトル空間を2次元の可換Lie群と考え、それとSL(2,C)との半直積を考える。自然にSL(2;C)はこの群の中に埋め込まれる。 SL(2;C)-表現のこの拡大した群の中での拡大した方向への変形を表す空間のZariski接空間として1次元コホモロジーは解釈できることを証明した。従って、2次元複素ベクトル空間係数のコホモロジーで定義されるReidemeister torsionに関しても幾何学的な解釈を与えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本群の表現を用いた不変量に関しては研究が進んでいるが、副有限完備化との関連を調べる部分において研究があまり進んでいない。この理由としては、Reidemeister torsionの研究の方にまず力を注いでいたということが挙げられる。一般にはSL(2;C)-表現のReidemeister torsionの値は有理数体Qの代数拡大に入るので、これらの値を精密にしらべることで基本群の有限商との関係が期待されるので、これに時間をかけたが、思った以上に時間が必要であったということがある。また一方で、副有限化を取り扱うことの理論的な整備があまり進んでいないということも全体として進まなかったことの理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
副有限完備化に関してフランスのMichel Boileau氏がドイツのStefan Friedl氏と共同で幾つかの結果を得ているとアナウンスしている。Michel Boileau氏を日本に招聘し、この周辺のことに関して専門知識の供与を受け、また情報の交換を行い、当初の研究計画に関して推進を図る。 また基本群の表現空間の研究に関する専門家であるフランスのMichael Heusener氏、幾何学的群論の研究の専門家でこの分野の若手のリーダーの一人であるJavier Aramayona氏も招聘し同じように情報の交換、専門知識の供与を受ける予定である。
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Causes of Carryover |
本年度秋に1週間程度、研究課題に関して海外の研究者を招聘、あるいはこちらから海外出張をして専門知識を得る予定であった。これに関して日程を調整の段階で、都合をうまく合わせることができずに、まとまって時間を取れるのが次年度になったために次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フランスから招聘するMichel Boileau氏の滞在費、および当初の予定ではなかったが、この分野の専門家であるMichael Heusenr氏、Javier Aramayona氏を招聘するために使用する予定である。Michel Boileau氏、Javier Aramayona氏は滞在費のみで約10万円、Michael Heusener氏は飛行機代も含め約30万である。
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Research Products
(5 results)