2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400106
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
竹縄 知之 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (70361805)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パンルヴェ方程式 / 力学系 / 有理曲面 / モノドロミー / 超離散 / トロピカル幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず,代表的な可積分な有限次元力学系である離散パンルヴェ方程式について研究を行った.ノーザンコロラド大学のA. Dzhamay氏と協力して,フックス型線形常微分方程式のシュレジンガー変換として離散パンルヴェ方程式を導くための,一般的な明示公式を得た.ただし,離散パンルヴェ方程式は様々な時間発展の方向を持つため,それとシュレジンガー変換との関係は非自明である.本研究では特にE7型の対称性を持つ差分型離散パンルヴェ方程式に対して,シュレジンガー変換との関係を,ゲージ変換を法として明らかにした.この結果はContemporary Mathematics誌に掲載予定である. 次に可積分系とは限らない,常微分方程式に対して,その初期値空間はどのようなときに構成できるのかという問題に取り組み,予備的な結果として,解が代数分岐点を持つ場合でも,初期値空間を定義することができるという例を見出した.この問題はパンルヴェ性,可積分性の定義と密接に結びつく重要な問題と考えられ,今年度以降も引き続き研究を継続するよていである. また,超離散KdV方程式の周期解の線形化について研究を行った.その結果,離散方程式の解とは直接結びつかないような解であっても,トロピカルヤコビ多様体上での線形化は可能であろうという予想を得た.これについても引き続き研究中である. 3月に東京海洋大学で国際研究集会「可積分系と表現論」を今野均氏らと開催し,国内外から参加者を招き,これらの研究結果の発表および関連する議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的で挙げた項目のうち,モノドロミー保存変形との関係については予定通り進んでいる.可積分系の基礎づけに関しても興味深い例を発見した.また,超離散方程式の代数幾何的な解についても研究が進展しているのでおおむね順調と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
可積分系の基礎づけに関して発見した例を詳しく調べることにより,より明確な幾何学的特徴づけを得たい.また,超離散方程式の代数幾何的な解についても予想を証明したい.そのためにまず離散方程式の場合の解についてより明確にする.また,高次元可積分系についても近年いくつかの重要な発展があり,研究環境が整いつつあるため,研究を行う.
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Causes of Carryover |
主として作年度の旅費使用額が当初よりも少なかった分を今年度も引き継いだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度国際会議のセッションを主催するにあたり,一部講演者を招待し研究討論を行うことに使用する.
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