2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 諭 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60287977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 佳正 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50172458)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 直交多項式 / 離散可積分系 / オートマトン / 国際研究者交流 ウクライナ |
Research Abstract |
廣田のタウ関数などの可積分系の理論と直交多項式の理論を用いることで,古典直交多項式とその一般化に関する以下の項目について理論的解析を個別的にすすめた.古典直交多項式とその一般化に関する研究の端緒として,例外型直交多項式を取り上げた.例外型直交多項式は,Gomez-Kamran-Milson, Odake-Sasakiら によって導入された古典直交多項式の一般化の一つであるが,現在,多くの研究者の注目をあびており,多くの具体例が知られるようになってきた.しかしながら,それらは個別的な解析が主であり,それらを統括的に扱うに至っていない.例外型直交多項式の古典性を明らかにすることで,例外型を含めたより広いクラスを扱うことが可能となる.これにより,多重超幾何関数やDarboux変換の理論などとの関係が明らかになってきた.次に,Bannai-Ito多項式の鏡像変換と一階差分からなるDunkl作用素の多項式固有関数として与えられるBannai-Ito多項式について,古典直交多項式として様々な性質が明らかになっていない.母関数表示やRodriguesの公式を明らかにしつつ,その先の例外型直交多項式の導出を行った.また,箱玉系のスペクトル解析として,運搬車付き箱玉系に対応するオートマトンを導出し,その上でのランダムウォークについて解析を進めた.この中で,オートマタ群の点燈夫群と箱玉系と直接的な対応関係が明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は,古典直交多項式とその一般化に関して,離散可積分系の立場からその多様な性質を明らかにし,新たな特徴付けを与えることにより,直交多項式を含めた特殊関数に関連する諸分野を横断的に研究する新しい古典解析的方法論を確立することにある.具体的な研究課題の一つである古典直交多項式と離散可積分系理論については,例外型直交多項式とDarboux変換との関係をより直接的に準多項式固有関数を用いて統一的に捉えることをしめした.さらには,最近見出されたBannai-Ito多項式に関しても,同様の議論により例外型への拡張に成功するなど,着実に研究が進展しているといえる.また,箱玉系との関係についても,直交多項式に付随する可積分系の代表例として挙げられる戸田方程式およびLotka-Volterra方程式との関係はよく知られており,その一般化である双直交多項式におけるLotka-Volterra方程式の類似物を見つけることで,可積分系にる直交多項式理論を深めることが可能になった.さらに,予期せぬ結果として,オートマタ群の点燈夫群と運搬車付き箱玉系との直接的な対応関係が明らかになるなど,幅広い分野への応用の道筋が見えてきた.この点に関しても,高速かつ高精度の数値計算アルゴリズムに不可欠な減算なし漸化式との導入と箱玉系の超離散化手法との関係について,新たな観点が加えることが可能になったことで,これまでに提案していきたアルゴリズムの改良を図ることが可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,古典直交多項式とその一般化に関する研究については,離散可積分系理論と離散直交多項式の対応関係を明らかにすることで,従来の個別的ではなく,本研究課題初年度で得られた包括的枠組みをより広い対象について,適用を試みていく.特に,例外型直交多項式および Bannai-Ito 多項式,多重直交多項式,(p, q) 型直交多項式,歪直交多項式などの具体的な例を手がかりにして,代数的な枠組 みや対応する可積分系との関連を明らかにしながら,一般化された直交関数系における古典性を明らかにしていく予定である.また,古典直交多項式の諸分野への応用については,これまでに蓄積してきた古典直交多項式および離散可積分系の理論を用いることで,対応する量子力学における超可積分性,確率過程における出生死滅過程,非対称単純排他過程 (ASEP),ランダム行列の理論,パンルベ系数値計算ゴリズムなどへの応用を図ることで,新たな古典解析的方法論を確立したい.特に,箱玉系とオートマトンの解析から明らかになったチューリング機械の理論との関係について,より解析を深めていきたい.この観点からの可積分系研究は例がなく,新たな枠組みの構築を目指していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
招聘予定であった海外共同研究者の国(Ukraine)の政情が不安定であったため,科学者の出国が禁止されてしまったため,予定を変更せざるを得なかったため. 本年度,招聘予定であった海外共同研究者を招聘する予定である.
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