2015 Fiscal Year Research-status Report
非双曲力学系の非自明遊走領域の存在に基づく研究の新しい枠組みの構築
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25400112
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
桐木 紳 東海大学, 理学部, 教授 (50277232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 輝彦 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50154688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 力学系 / Colli-Vargasの予想 / vanStrienの公開問題 / Takensの最終公開問題 / 非自明な遊走集合 / Historic behavior / ホモクリニック接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はColli-Vargasの予想「Newhouse領域のおける非自明な遊走集合を持つ微分同相写像の稠密性」の解決が主な目的であった.我々はこの予想の肯定的な証明を与えることに成功した.具体的に「Newhouse領域の稠密部分領域に属する任意の微分同相写像は非自明な遊走集合を持つ」というのが結果である. この成果のみならず,その補題としてvanStrienの公開問題「Henon 写像族は非自明遊走集合を持つか?」に対して「Henon 写像族は非自明遊走集合を持つHenon-like写像族でC^r近似できる」と肯定的な解答を与えることに成功した. さらにTakensの最終公開問題「測度正の初期値の集合でその軌道がHistoric behaviorとなるようなロバストな力学系は存在するか?」に対して,その部分解も得ることができた.具体的には「初期値の開集合(すなわち測度は正)でその軌道がHistoric behaviorとなるような力学系の稠密集合が存在する」ことを証明した. 以上の結果を2つの論文にまとめarXivで公開した(参照 https://arxiv.org/abs/1503.06258 と https://arxiv.org/abs/1511.05257).また今年度は完成した証明を様々な研究集会で発表し,多くの研究者と意見を交換した.具体的にはブラジルのサンパウロ大学にてColli-Vargasの予想の張本人であるVargas教授とColli教授と議論し,その成果を認めてもらった.また台湾大学で国際研究集会で報告も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本来の目的(Colli-Vargasの予想の解決)は果たせたのみならず,その結果を利用してvanStrienの公開問題とTakensの最終公開問題に対して解答を与えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
すでに本研究について論文を2本執筆し(参照 https://arxiv.org/abs/1503.06258 と https://arxiv.org/abs/1511.05257)それらを国際的に有名なジャーナルに投稿した.今後はその審査結果を待ち,その結果に合わせて活動したいと考えている.
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Causes of Carryover |
購入を予定していたノートパソコンが前年度末期に新製品に替わるとニュースがあり,購入を見合わせた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入を予定していたノートパソコンの新製品を購入する予定である.
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