2014 Fiscal Year Research-status Report
可解リー群における非可換フーリエ解析とその等質空間上の解析への応用
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25400115
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 順子 鳥取大学, 大学教育支援機構, 准教授 (40243886)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユニタリ表現 / 複素解析的誘導表現 / 可解リー群 / 非可換調和解析 / 表現論 / 国際研究者交流 / フランス:チュニジア |
Outline of Annual Research Achievements |
指数型可解リー群において、リー環の実線型形式fと、リー環の複素化g上にfが引き起こす交代双一次形式に対して等方的な複素部分リー環hをとり、モジュラー関数に伴う補正項dを加味して定義される(広い意味での)複素解析的誘導表現を研究した。部分リー環hがpolarizationの場合に従来よく知られているこの構成法を、hが一般の部分リー環の場合に拡げ、自明でない表現(表現空間が{0}でない表現)を得るための条件や既約分解を求めることを目標とするが、研究の初期の段階として、自明でない表現が構成される新しい例をみつけて詳細に調べることに重点をおいた。今年度はn次元可換正規部分群Rnと1次元部分群Rとの(冪零でない)半直積群Gにおいて、hが1次元の複素部分リー環の場合を扱った。hとその複素共役空間の和空間がg全体をリー環として生成する場合が本質的に重要であるのでこれを仮定した。この時さらにRのリー環での随伴作用がある条件を満たす群Gにおいては、補正項dを適切に選ぶと自明でない複素解析的誘導表現が得られることを示し、既約分解等に関する以下の結果を得た。まずPlancherel測度に関し殆ど全ての既約表現に対して、(h,f,d)に関する半不変な超関数ベクトルの空間を決定し、この空間は1次元の空間または{0}であることを示した。次に、構成される複素解析的誘導表現が、Gの(無限次元)既約表現のうち1次元の半不変超関数ベクトルの空間を持つ表現の無重複な直積分に分解することを示した。結果は論文にまとめ学術雑誌に発表した。 リー群のフーリエ変換とC*環の構造解析については、これまでの結果を踏まえて、国内・国外の研究者と情報を交換し議論等を行った。これにより、非可換フーリエ変換を扱う解析手法について検討を進めた。また、指数型可解リー群のC*環の構造解析をさらに進める上で基本的な問題についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は指数型可解リー群の複素解析的誘導表現に関する研究について、自明でない表現が構成される新しい例を調べ、詳しい解析を行い結果をまとめることができた。また、フーリエ変換の構造解析については、昨年までの研究の一部が学術雑誌に掲載され一区切りがつけられたほか、国内外の研究者との議論等により、次年度へ向けての準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
リー群のC*環・フーリエ変換の構造解析について、引き続き国内外の研究者との研究交流を通して情報を収集し、これまでに得られた知見を踏まえて研究を行う。特に指数型可解リー群のC*環に関する問題では、フランス、ドイツで関連分野の研究が行われており、情報交換や研究協力を進めたい。また、Lpフーリエ変換の解析に関しては、チュニジアの研究者と共同研究などを進める計画である。 複素解析的誘導表現については、余随伴軌道の幾何との関係を探り、対象とする群を広げて既約分解などの計算を行うため、関連分野の情報を収集する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究を全般に効率的に進めてきたが、当初参加を計画していた研究集会の中で、日程上の都合で出席を取りやめたもの等があり、結果として未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
表現論・調和解析関連分野の研究者との研究交流を行い、情報の収集、意見交換、あるいは共同研究に発展させて研究を推進する。このための旅費や会議費等を次年度に繰り越した助成金を合わせた本研究費から支出したいと考えている。具体的には国内の表現論関連の研究集会のほか、国外では、チュニジアで当該分野の研究者との表現論に関する研究交流の計画がある。また、12月にチュニジアで開催される予定の表現論・調和解析の国際研究集会にも参加する計画である。 なお、必要に応じて文献等による情報収集も行う。
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Research Products
(3 results)