2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
内山 充 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60112273)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 作用素単調関数 / Pick 関数 / 解析接続 / 作用素不等式 / Loewner の定理 |
Research Abstract |
当研究課題の平成25年度の研究計画は「作用素単調関数と直交多項式系,Jacobi作用素,連分数との関係の解明」を研究していくことであった。作用素単調関数 f(t) はボレル測度σを用いて積分表示できる。このσから直交多項式系 {p_n} も生成される。 {p_n},Jacobi 作用素 J, 連分数の三者の関係はよく知られている。従って,25年度の目的は、これらと作用素単調関数の間の関連を調べることであった。区間 (-1, 1) 上の作用素単調関数 f(t) がσによって積分表示されているとき, f(t) をσから定まるJacobi 作用素 J とcyclic ベクトル e と内積 ( , ) を用いて次のように表わすことができた。 f(t)=f(0)+f'(0)(t(1-t J)~(-1)e, e) (-1<t<1). 但し、x~n はx のn乗を表し、p_n は列の第n項を表す。この結果は、J. M. A. A. から出版された。また、p_n の主逆関数はPick関数であること、さらに、p_(n-1) との合成関数もそうであることを示した。このことは、p_nによる行列不等式からp_(n-1)による行列不等式が導かれることを意味している。 ガンマ関数の主逆関数が複素平面の上半平面に解析接続でき、その値も上半平面にあるという私の結果を、オランダLeiden 大学で開催された Positivity についての研究集会で発表した。 また、9月に愛媛大学での学会でも成果を発表した.このときは、東洋大学山崎准教授との共同研究の結果、千葉大学渚教授との共同研究の結果についても発表した。更に、3月に学習院大学で開催された学会では「企画特別講演」を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」で述べたように、平成25年度の研究計画は達成された。加えて、東洋大学山崎氏、千葉大学渚氏との共同研究が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、予定通りに「Loewner-Heinz 不等式の逆が成立するための条件の考察」 を研究していく。Loewner-Heinz 不等式とは 0< a <1 のとき 0 <= A <= B ⇒ A~a <= B~a を言う。なお、上の式で A~a は A の a 乗を表し、 <= は等号と不等号を合わせた記号である。この命題の逆は成立しないのであるが、私は次のような予想をしている。0<a<1 を固定した時,(A + t)~a <= (B+ t)~a が 全てのt>0 について成立すれば A<= B が成立する。この予想を解析的手法により証明し,その応用について考察する計画である。例えば,作用素幾何平均 # に関して, 0 <= A <= C, 0 <= B <= D ⇒ A # B <= C # D であるが逆命題については解明されていない。この逆が成立するための条件を見つけたい。この研究は連携研究者である幸崎氏の研究対象である ``作用素平均理論'' とも密接な関係がある。それは,作用素平均は作用素単調関数によって生成されるからである。また連携研究者の綿谷氏は作用素論にも造詣が深く活発に研究している。この二人と研究打ち合わせをするため,また情報を得るために九州大学を訪問する予定である。また、7月に韓国で開催される LAA の国際研究集会にも参加する予定である。
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