2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400122
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
高木 太一郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 教授 (00531766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 可積分系 / 超離散化 / トロピカル幾何学 / 組合せ論 / 戸田格子 / ヤング図形 / ラックス形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
トロピカル周期戸田格子の保存量に関して前年度中に執筆・投稿していた論文の査読レポートを受理したため、その内容に基づきいくつかの論点を再考した。査読者からの指摘をうけ、特に4節で扱っていたKerov-Kirillov-Reshetikhin全単射の連続化について、定理としての主張を明確化し、証明を与えた。A型ランク1の場合のみであるが、全単射であることを証明した。論文はJournal of Physics A誌にて出版された。また、その内容を日本数学会年会にて発表した。この結果は必ずしもgeneric条件を満たさない場合(同じ振幅のソリトンが複数存在する場合)の等位集合の大域構造を解明するための重要な一歩であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の論文の結果は着実な成果と言えるが、その先の進展に関してはやや停滞している。特殊ケースである周期箱玉系の場合は同じ振幅のソリトンに対する量子数の比によって内部対称性が生じ、等位集合の連結成分の体積が減少していた。一方、一般のトロピカル周期戸田格子では、連続化されたKerov-Kirillov-Reshetikhin全単射によって生成される艤装配位における量子数が整数とは限らない一般の実数となるため、内部対称性の生じる確率がゼロに近くなる。このような違いがあるため、先に進むためにもう一つアイデアが必要であり、様々な試行錯誤を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の研究会に参加し、同じ分野の研究者たちと議論をしつつ研究を進めていく。A型ランク1だけではなく一般のアフィン・リー環への拡張についても考える。①トロピカル周期戸田格子の等位集合の連結成分への分解のようすを明確に記述できるような道具立てを整備する。②特殊ケースである周期箱玉系の等位集合の体積公式に対して、その連続極限をスケール化によって導出し、一般のトロピカル周期戸田格子の等位集合の体積と一致するかどうかを検証する。③数理物理学における最新の研究動向について様々な手段で確認しつつ、より波及効果の大きい問題設定が見つかれば適宜研究方針を修正していく。
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Causes of Carryover |
諸般の事情により予定していた出張の大部分ができなかったため、科研費をほとんど使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度で研究期間を1年延長して使用する予定である。具体的には、2016年にフランス・リヨンで開催されるIUPAP統計物理学国際会議において研究成果を発表するために出張することを予定している。本年度は国際会議出席のための海外出張旅費、パソコンなどの備品およびソフトウェアやトナーなど消耗品購入費用として科研費を使用する予定である。
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