2013 Fiscal Year Research-status Report
バナッハ空間における直交分解とその数学的諸分野への応用
Project/Area Number |
25400124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
本田 卓 岩手大学, 教育学部, 准教授 (30633531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 浩一 岩手大学, 教育学部, 教授 (70271830)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 関数解析 / バナッハ空間 / 作用素論 / 非線形関数解析 / 解析的数論 |
Research Abstract |
本研究は、バナッハ空間の直交分解利用して、バナッハ空間の構造を明らかにすることを目的にしている。本年度は、バナッハ空間の直交分解とde Leeuw-Glicksberg分解定理を用い, M.Lin(イスラエル)が示した作用素の群における定理を可換線形非拡大半群にまで拡張した研究代表者が得た結果を、非可換半群にまで拡張することを試みた。条件付きだが、非可換半群にまで適用できることが示され、6月にスペインで催された国際研究集会Operators on Banach Spaces、8月に弘前で催された国際研究集会The Eighth International Conference on Nonlinear Analysis and Convex Analysis (NACA2013)、12月に台湾で催された国際研究集会The International Conference on Nonlinear Analysis and Optimization (ICNAO2013)で本田がその結果を講演し、国内外の多くの著名な数学者たちから関心を持たれ多くの助言を得た。さらに、バナッハ空間の直交分解の応用として、条件付き期待値が強収束する必要十分条件を求める研究を始めている。また、川田が10月にドイツで開催された国際研究集会Analytic Number Theoryで数論に関する現段階での関連成果を発表し、新たな情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の研究集会に出席し、多くの数学者と交流することができた。このことにより、現段階での研究の位置づけを確認することができ、今後の研究の方針を再確認するとともに、有用な情報を多く入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に入手した情報を元に、さらに試行錯誤を加え、新しい成果の構築に取りかかりたい。知己を得た研究者と、より専門的な交流を重ね、次年度に開催予定の研究集会でその経過を報告する予定である。特に次年度は今年度の研究に引き続き以下の分野の研究を計画している。(1)バナッハ空間の直交分解とde Leeuw-Glicksberg分解定理を用いた非可換線形非拡大半群における分解定理を、できるだけ少ない条件下で成り立つように改良できないか研究を重ねたい。今年度、多くの研究者より非常に関心が持たれ助言を受けたので、amenable半群への拡張が可能かどうか試みる予定である。(2)バナッハ空間の直交分解や近年発展著しい非線形射影の結果を用いることで、線形非拡大射影に対する新たな研究手法が開発できる。特に条件付き期待値が強収束する必要十分条件を求めたい。これは確率論等、多くの数学分野にも反映できる研究である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究費の使用が遅れ、また、選定に手間取ったため、予定のパソコン購入が次年度にずれ込むこととなった。本年度末に注文、次年度納入となってしまったため次年度使用額が生じてしまった。 次年度は、パソコン購入に加え、今年度できなかった国内外の研究者との情報交換や討論を行うとともに、文献収集やその整理を行うために科学研究費を使う予定である。さらに、この研究に興味を持っている他大学の研究者との研究打ち合わせや情報交換のため、また、本研究で得られた成果を国内外で公表するための旅費に科学研究費を使う予定である。
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