2014 Fiscal Year Research-status Report
汎関数により表現される消散構造をもつ非自励な微分方程式系に対する適切性
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25400134
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 直樹 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00207119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (40232227)
清水 扇丈 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50273165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | quasilinear equation / Favard class / semigroup of operators / metric-like functional / subtangential condition / dissipativity condition / delay equation / evolution operator |
Outline of Annual Research Achievements |
1.加藤の準線形理論の拡張-退化準線形微分方程式系への接近法に向けて-について: (1)この問題は昨年度からの継続課題である。これを退化方程式に付随する発展作用素の特徴づけの問題として捉え,よく利用されるレゾルベントの代わりをする作用素族を導入し,それに対する整合性条件,及び,Favardクラスの概念を組み込んだ安定性条件を提案し,退化方程式に付随する発展作用素の特徴づけ定理を確立した。論文を作成中である。 2.時間に依存する単調作用素,劣微分作用素により支配される発展作用素の枠組みの拡張について:(1)非自励な方程式系を支配する作用素が連続である場合に,その作用素がリプシッツ発展作用素の生成作用素であるための必要十分条件は,距離に似た汎関数による消散条件,接線条件,及び,定義域の連結性条件が満たされることを示し,非自励な準線形波動方程式の初期値問題の適切性へ応用した。論文を投稿中である。(2)微分作用素のイメージと結びつきにくい連続性の条件に着目して,自励な方程式系の適切性定理を考察し,単調作用素,劣微分作用素の理論の拡張を与えた(研究成果へ記載の1つ目の論文)。(3)発展方程式の枠組みの拡張として,遅れを考慮した方程式を考察する方向がある。制約付き消散条件のもとで,遅れを伴う方程式について,ある集合を出発した解がその集合に留まり続けるための十分条件がその集合に対する劣接線条件であることを明らかにした(研究成果へ記載の2つ目の論文)。この方向の研究にさらに踏み込んで得られる見地をもとに本研究課題へ挑戦したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの研究実施計画では,(1)加藤の準線形理論の拡張-退化準線形微分方程式系への接近法に向けて-,及び(2)時間に依存する単調作用素,劣微分作用素により支配される発展作用素の枠組みの拡張,を実施することを挙げていた。(1)については,退化方程式に付随する発展作用素の特徴づけ定理を確立し,論文を作成中である。(2)については,自励系の場合ではあるが,作用素半群の枠組みの1つの拡張を与えて,論文が出版された。非自励系の場合については,方程式系を支配する作用素が連続である場合に,リプシッツ発展作用素の生成作用素の特徴づけを与え,成果を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では,継続して,方程式系を支配する作用素が必ずしも連続とは限らない場合に,時間に依存する単調作用素,劣微分作用素により支配される発展作用素の枠組みの拡張を目指したい。また,近似解法による非自励な微分方程式系に対する初期値問題の適切性定理の確立という課題に挑戦したい。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた石井克幸氏(研究分担者),松本敏隆氏(連携研究者)との研究打ち合わせを実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の研究打ち合わせを今年度の早い時期に実施する予定である。
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