2013 Fiscal Year Research-status Report
広義拡散過程列近似に基づく双一般化拡散過程の諸相の解明
Project/Area Number |
25400139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
富崎 松代 奈良女子大学, 名誉教授 (50093977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶽村 智子 奈良女子大学, 自然科学系, 助教 (40598140)
飯塚 勝 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (20202830)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 広義拡散過程 / 双一般化拡散過程 / 極限定理 / モランモデル |
Research Abstract |
双一般化拡散過程の研究を推進するためには、豊富な例が必要であるが、考察対象の確率過程の多くは強マルコフ性を持っていない。本年度は、どのような状況下で双一般化拡散過程の強マルコフ性が失われるかという点について考察した。また、本研究では、双一般化拡散過程を広義拡散過程列の極限過程として捉えることにより諸相を解明することを目指している。そのため、広義拡散過程列の収束の状況についての考察を加える必要があり、この観点から研究分担者とともに研究を推進した。 Tomisaki and Iizuka (2013) において考察した集団遺伝学のモランモデルに対する極限定理を確率過程の収束の視点から捉えなおした。その結果、この収束は確率過程の弱収束ではないことを証明し研究論文としてまとめた。この研究論文では、拡散過程列の極限過程が広義拡散過程ではない例について、双一般化拡散過程として捉えなおすことにより標本路の具体的な表現を得た。この表現に基づいて、当該の極限過程の強マルコフ性について考察を行った。また、集団遺伝学における複雑な確率モデルを記述する確率過程の境界への初期到達時間についての解析を行った。 広義拡散過程は正値連続加法的汎関数を用いてブラウン運動の時間変更と尺度の変更により得られる。さらに、正値連続加法的汎関数の列と尺度の列を考察することにより、双一般化拡散過程が得られる。時間変更は正値連続加法的汎関数の逆写像により定義される。この観点から、正値連続加法的汎関数を定義するブラウン運動の局所時間の逆写像についての考察を行った。また、広義拡散過程の正値連続加法的汎関数に基づく球面上のブラウン運動との斜積に対して、広義拡散過程のどのような特性量が斜積に反映されるかを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要は、平成25年度の研究計画として記載した内容がおおむね順調に進展していることを示している。 拡散過程列の極限過程が広義拡散過程ではない事例について、双一般化拡散過程として捉えなおし、状態空間の点の分類の観点から考察した。またこの事例では、標本路の具体的な表現を示し、この表現に基づいて当該の極限過程の強マルコフ性について考察を行い、ボレル集合族の構造により強マルコフ性が満たされない状況が生まれることを解明した。 Tomisaki and Iizuka (2013) において考察した集団遺伝学のモランモデルに対する極限定理を確率過程の収束の視点から捉えなおし、弱収束ではないことを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続いて、広義拡散過程列の収束の状況について考察する。 Takemura, Tomisaki and Iizuka(2014)では、拡散過程列の極限過程が広義拡散過程ではない事例について、Ogura(1989) による双一般化拡散過程の理論に基づいて標本路の具体的な表現を得た。一方で、広義拡散過程はブラウン運動の時刻変更と尺度変換により表現でき、双一般化拡散過程は広義拡散過程列の極限として自然に出現する。この事実を組み合わせて、双一般化拡散過程の標本関数の新たな表現を得ることに取り組む。また、双一般化拡散過程の標本路の挙動を調べる。更に、標本路の挙動が特異であるかどうかを判定する指標(何らかの解析的量)について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究課題を推進するために、パリ大学のMarc Yor教授を訪問して研究打合せを行う計画であったが、Marc Yor教授の急逝によりこの計画を中止した。 2014年8月に関西大学で開催するシンポジウム「International conference on Stochastic Processes,Analysis and Mathematical Physics」に、本研究課題に関連した分野で研究を行っている研究者が参加する予定である。その方々と研究打合せを行う。専門知識を提供していただく研究者に対して、滞在費と謝金を支払う。
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Research Products
(4 results)