2014 Fiscal Year Research-status Report
共鳴現象の解析による非線形分散型方程式の初期値問題の適切性と漸近挙動の研究
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25400158
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津川 光太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (70402451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分散型方程式 / 非線形 / 適切性 / 初期値問題 / 調和解析 / KdV / Zakharov |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形分散型方程式の可解性や漸近挙動について調和解析的手法を用いて研究している。今年度は以下の四点に関する研究を行った。 一つ目は、3階までの微分を含む非線形項を持つ5次分散型方程式のトーラス上での時間局所適切性の研究である。一般に、方程式の性質は時間局所的には線形部分によって支配されると考えられている。しかし、ある種の非線形項に対しては、線形部分が分散型であるにも関わらず非線形項が持つ放物型の性質が支配的となることを発見した。多項式型の非線形項を考え、このような放物型効果を持つ型の非線形項とそうで無いものに完全に分類した。 二つ目は、Up, Vp空間を用いたZakaharov systemの初期値問題の小さな初期値に対する時間大域的適切性と漸近挙動に関する研究である。昨年度から引き続き行っている研究で、非斉次ソボレフ空間の場合への拡張などを行っていたため論文の執筆が遅れていたが、ほぼ完成した。この研究は博士一年の加藤勲氏との共同研究である。 三つ目は、一昨年から引き続き行っているトーラス上での5次KdV型方程式と5次mKdV型方程式の滑らかさの低い初期値に対する時間局所適切性に関する研究である。昨年度までに得られていた結果よりさらに広いクラスの方程式に対して示すことが出来た。この研究は加藤孝盛氏との共同研究である。 四つ目は、一つ目の研究を一般の奇数次の分散型方程式の場合に拡張する研究であり、計算を始めたばかりである。この研究はYLC特任助教のTristan Roy氏との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の概要で述べた一つ目の結果である3階までの微分を含む非線形項を持つ5次分散型方程式のトーラス上での時間局所適切性の研究における、放物型効果を持つ型の非線形項とそうで無いものに完全に分類した結果は、共鳴現象と適切性の関係を明らかにすることによって得られた大きな成果であり、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは特に5次の分散型方程式でトーラス上の場合を中心に扱ってきたが、一般の奇数次の場合や実軸上の場合に拡張していく予定である。
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Causes of Carryover |
必要な図書が予定より安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
図書購入費用の一部として使用する。
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Research Products
(5 results)