2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂川 秀明 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80375394)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シュレディンガー方程式 / 非線形消散構造 / 零構造 / ライフスパン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は大きく分けて2種類に分類され、いずれも1次元Euclid空間上で3次の非線形項を伴う微分型非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に対する解の長時間挙動に関するものである。以下、それぞれの成果についての概略を記す。
・昨年度に引き続き、複数の質量項をもつ連立系に対する非線形消散構造と零構造の特徴づけを考察した。いわゆる質量共鳴条件が満たされる場合と満たされない場合それぞれについて、ある程度満足できる構造条件を得ることに成功した。但し、今回のアプローチには1次元の場合にのみ有効な部分が含まれているため、その高次元化については考察の余地が残った。この点は次年度以降の課題である。(以上、Chunhua Li氏との共同研究。)
・単独の方程式で非線形項にゲージ不変な項とそうでない項が混在する場合に、解の最大存在時間(ライフスパン)の下限についてのほぼ最適と思われる評価式を得た。ゲージ不変な場合については2006年に代表者自身が同様の結果を得ていたが、今回得られた結果はその拡張であるとともに、初期値および解の属する関数空間の観点からも結果を改善できた。波動方程式に対する同様の研究についてはJohn と Hormander による有名な結果があり、それはKlainermanとChristodoulouの意味の零条件と密接に関係していることがよく知られている。今回我々の得た結果はJohnとHormanderの結果のシュレディンガー方程式に対する自然な類似物と見なせることから、本課題で目標としている「シュレディンガー方程式に対する零構造の解明」に向けて大幅に前進できたと考えている。(以上、佐川侑司氏との共同研究。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上に記したC.Li氏との共同研究および佐川氏との共同研究によって得られた成果から判断して、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
微分型非線形シュレディンガー方程式系の弱零構造に関する研究を継続する。また、国内および海外で行われる各種研究集会に参加して成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年7月に研究集会参加のために中国へ出張した際の旅費について、当初の予定とは異なり、費用の一部を先方が負担することになったために見込み額と執行額に差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中国の共同研究者との研究打ち合わせならびに研究成果発表のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)