2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢ヶ崎 一幸 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40200472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 允瑠 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (40467444)
伊藤 秀一 金沢大学, 数物科学系, 教授 (90159905)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 力学系 / 微分方程式 / 反転可能系 / 区分的に滑らかな系 / 不規則摂動系 / 分岐 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,常微分方程式系あるいは偏微分方程式系で記述される力学系を取りあげ,従来の分岐理論では取り扱うことが困難である多様な分岐構造を,必要となる手法を新たに開発するなどして解明する.また,対応した数値解析あるいは数値シミュレーションを行って理論結果を数値的に確認する.本年度は以下の研究成果が得られた. 1.力学系の手法により,あるクラスの楕円型偏微分方程式において,正値球対称解が唯一つ存在することを証明した.この事実の証明は初めて与えられたものであり,関連研究と比較して対象となる方程式のクラスが非常に一般的である点がこの結果の大きな特徴となっている.用いられた具体的な手法は,正値球対称解が満たす,特異点を有する常微分方程式系に対して,特異点を打ち消すような状態変数を導入して,各々が特異点と無限遠点を含む2つ力学系を考え,正値球対称解をそれらの系の不変集合の不安定多様体と平衡点の中心安定多様体の交点に対応づけ,それらの不変多様体が横断的に交差することを証明するというものである.さらに,力学系理論に基づいた数値計算をコンピュータソフトウェアAUTOを用いて行い,理論結果の正しさを確認すると共に,方程式のパラメータの値が理論の適用範囲外となる場合にはサドル・ノード分岐およびカスプ分岐の起こることを数値的に示した. 2.ある反転可能力学系において,サドル・センター型平衡点に対するホモクリニック軌道の分岐が起こるとき,ホモクリニック軌道まわりの変分方程式が微分ガロア理論の意味で可積分となることを理論的に示した.この事実は,研究代表者らが2006年に学術雑誌(Physica D)の発表論文で指摘したが,それ以来未解決のままとなっていたものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
楕円型偏微分方程式の正値球対称解の存在証明や分岐解析に対する有力なアイデアが得られ,その問題に力を注いだため,他の問題には取り組むことがやや不十分であった.
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Strategy for Future Research Activity |
・反転可能系における対称周期軌道の1パラメータ族の分岐から生じる対称周期軌道の安定性を判定する理論を構築する. ・パルス/フロント定在波解から進行波解が発生する分岐現象,ハミルトン系における横断的ホモクリニック軌道の存在に関する研究の遅れを取り戻す.
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Causes of Carryover |
次年度研究成果を発表する機会が増える見込みのため,本年度の旅費を節約した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費100,000円,旅費1,324,789円,人件費・謝金20,000円,その他20,000円,計1,464,879円
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