2015 Fiscal Year Research-status Report
複数の場の相互作用を記述する非線形偏微分方程式の適切性と解の漸近挙動
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25400176
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
和田 健志 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70294139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 山形大学, 理学部, 教授 (70312634)
北 直泰 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (70336056)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非線形 Schrodinger 方程式 / 適切性 / Strichartz 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形 Schrodinger 方程式は波の非線形変調における包絡波や,誘電率が振幅に依存する電場など様々な物理現象を記述するために用いられる基礎方程式であり,その解析は数学的にも応用上も重要である.本年度は昨年度までの研究を踏まえて,非線形 Schrodinger 方程式の時間局所適切性について研究した.スケール不変性をもつ場合,方程式が適切となる空間は自然に決まると考えられているが,冪乗型非線形 Schrodinger 方程式の場合は非線形項の滑らかさも考慮する必要がある.非線形項の滑らかさが低い場合の時間局所適切性については,Y. Tsutsumi ('87) の仕事に始まる研究があり,特に分数次 Sobolev 空間の場合には Pecher ('97) の結果が知られていた.彼らの手法の要点は Schrodinger 方程式が空間変数に関しては2階,時間変数に関しては1階であることを利用し,空間変数に関する微分を時間変数の微分で代替することにより微分の回数を減らすことにある.Pecher の結果は非線形項が劣臨界の場合,最良であると考えられていたが,彼 の証明においては,非線形評価式の時間依存性の考察がされておらず,証明に大きなギャップがあった.本年度はこのギャップを埋めることに取り組み,Nakamura-Wada の修正型 Strichartz 評価(Pecher の評価の改善)を用いて証明に成功した.これにより,上記の問題は劣臨界の場合ほぼ完全に解決されたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pecher の「結果」自体は最良と考えられるが,その証明には大きなギャップがあり,実質的には未解決であった.本年度の研究により,このギャップを埋めることができたことは大きな進歩であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
分担者との連絡を一層密にして研究を継続するとともに,海外も含め同様の問題に興味を持つ研究者とも連携して研究に取り組む.
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Causes of Carryover |
分担者所属機関(山形大学)中期目標の年度報告のため、会計業務を早目に終了したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の研究において使用する.
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