2015 Fiscal Year Research-status Report
実解析とエネルギー法による非有界領域上のNavier-Stokes 方程式の研究
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25400185
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 昌男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20174659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Navier-Stokes 方程式 / 外部問題 / 定常解 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元外部領域上の Navier-Stokes 方程式について、外力および非同次境界条件を課した境界値問題について、これまでに知られていない対称性の弱い仮定の下で、空間的に臨界的減衰する小さい定常解の存在を示し、また、より強い仮定の下で超臨界的減衰する小さい定常解の存在を示した。ここで臨界的減衰とは弱 $L^2$-空間に属する程度の減衰を意味し、超臨界的減衰はそれより速い減衰の意味である。ここでは基本解についての対称性の利用と柴田良弘氏らによる外部問題に取り扱い方の利用が本質的であった。 また、 G. P. Galdi 氏との共同研究で、臨界的に減衰する定常解がより弱い対称性をみたす $L^2$-初期摂動について、また超臨界的に減衰する定常解が任意の $L^2$-初期摂動について、時間大域的に安定であることを示した。この結果は、この定常解が3次元外部問題における Physically reasonable solution の2次元版と見なせることを示している。この研究では対称性の下での Hardy の不等式の改良版が本質的に利用された。 さらにこの摂動を加えた際の定常解との差について、各種の関数空間における時間についての減衰の評価を与えた。ここでは resolvent を Neumann 級数で表し、実補間の手法で評価することが有効であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元外部領域上の Navier-Stokes 方程式について,3次元における Physically reasonable solution に対応するものを得ることが目的であったが、最大の課題である存在が示され、次いでその摂動に対する安定性も得られたことで、大きな山場は超されたものと思われる。 今後の課題としては、大きさに条件をつけない範囲での解の一意性の証明と、存在のために課した対称性に関する仮定が本質的であるか否かについての検証が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
大きさに条件をつけない解の一意性については、比較すべき解の何らかの条件をつける必要があるが、このためにはエネルギー不等式を非同次境界条件の場合まで拡張する必要があり、また標準的な手法で構成される弱解がこの不等式をみたすことが示されればより望ましい。このために弱解の構成を見直すことが必要である。 対称性の仮定についての検証は、求める対称性をみたさないパラメーター付きの外力について近似解を構成し、パラメーターを適切に変化させることで問題が非適切であることを示すことを目標とする。
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Causes of Carryover |
国際研究集会にて研究発表を予定していたが、適切な研究数回がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際研究集会で研究発表の旅費に充てる予定。
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Research Products
(4 results)